6ページ目 11月19日

 腹が空いた。

 ひもじい。

 ますます空腹がひどくなっている。


 今日は一日中、本も読まずに上から下まで歩き回ったというのに、食べ物の一つも見つからなかった。


 図書館である以上、食糧が豊富にある訳がないことは分かっている。

 それでももぬけの殻の司書室や休憩室にすら、パンの一切れも無いということが、果たしてあり得るのだろうか。


 食べ物が何もない。

 地下の科学の本に囲まれた恐竜の骨格標本や、一階の地理の本棚に置かれた地球儀では、私の腹を満たすことは出来ない。

 地下からぼんやりと響くあの低音が、己の腹の虫の音にすら聞こえてきて、何故だか笑いが込み上げてきた。


 ひどい空腹だ。

 もう歩き回ることも疲れてしまった。


 今日は世界の料理について書かれた旅行記を読んでから眠ろうと思う。

 例え近いうちに飢えて死ぬことになるとしても、せめて空想や夢の中でくらい、美味い料理を腹一杯食べていたい。

 

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