5ページ目 11月18日

 今日も人が訪れる気配がない。


 もう一度、地下から三階まで歩き回ってみたのだが、やはり誰も見つからなかった。

 見落としている出口や抜け道があればとも思ったが、こちらもやはり見当たらない。

 科学の本が並ぶ地下一階に扉を見つけたが、これは恐らく設備や機械の置かれた部屋へと続くものだろう。扉に耳を押し当ててては見たが、例の獣の唸り声のようなモーター音しか聞こえない。出口があることは期待できそうになかった。

 最も、仮にどこぞの劇場の物語よろしく秘密の地下水路か何かから抜けられるとしても、鍵が見つからない限りそもそも入ることすら出来ない訳だが。


 休憩中に絵本のコレクションをぼんやりと眺めている間、うず高く積まれたパンケーキを頬張る子供の描かれた絵が目に入ってきてから、ずっと腹が空いている。


 そういえば、一体いつから食べていないのだろう。少なくともこの場所に閉じ込められてからは、何も口にしていない気がする。

 思い出してから、どんどん空腹が耐え難いものになってきている。

 なぜ今まで平気だったのだろう。このままだと、餓死してしまうのではないか。


 絵を見てからずっと、人や出口だけでなく食料も探しているのだが、今のところ何も見つかっていない。


 それにしても、腹が空いた。

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