4ページ目 11月17日

 最後に、私のことについても、分かっている限りのことを書いておこうと思う。


・名前:

・年齢:

・何をしていたか:

・家:


 やはり駄目だ。


 前のページを書いている間にも薄々は感じていたのだが、どうやら自分に関することはほとんど何も覚えていないらしい。


 いや、特にそのことを意識せず過ごしている間には、分かっているような気がする。

 だが、いざ思い出そうとすると、途端に雲か霧でも掴んだかのように、自分に関する記憶がとてもあやふやになってしまうのだ。


 確かに覚えていることといえば、閉じ込められる直前に図書館で転寝をしていたという、あの記憶くらいだろうか。


 とりあえず、思い出した時のために、空欄にして残しておくことにする。


 もしも私が生きてここから出られなかった場合には、死ぬまでにはこのページが埋まっていることを願っておこう。

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