第18話 賞味期限はいつくるか
誕生日を迎えた2か月前、彼と誕生日を祝えなかったことと、
賞味期限の文字で気持ちがモヤモヤし、
すごく嫌な時間を過ごしていた。
10歳以上下の部下は、30歳前に結婚・出産の夢を見て、30歳以上の独身女は問題ありと言った。
7歳下の部下は、35歳の私の言動は落ちついていて、傷ついたり動揺したりしない人間だと言った。
2歳上の上司は、女性は年齢で決まらない。年齢を基準で選ぶ男は、“若さが好き”だと言った。
彼氏、年齢と人の価値は別のもので、年齢との向き合い方・生き方の問題だとし、年齢で人は決まらないと言った。
母は娘に結婚を強要し、父は娘の選択を尊重しつつ結婚を期待していると言った。
同じ年の玲は、結婚・出産・育児をし、会社復帰する予定だが、結婚・育児・家庭の存在が幸せとは限らない、結婚も離婚も選択の権利の一つで人としての評価基準でないと言った。
玲の旦那さんに夫・父親としての賞味期限を私は想像したが、玲は旦那を黙らせる手段・娘さんのため夫婦継続を続ける結論を言った。
私は35歳になった時、賞味期限の文字で何を思ったのだろう。
女としての魅力の減退か、年齢を重ねることへの恐れか、結婚していない自分への無意識的な嫌悪感か、彼との関係や将来への不安か。
いろいろなネガティブな発想で私が人として、女性として、家庭や社会において、1人の人間としての価値が年齢とともに薄れていく感じがしたのかもしれない。
だから、賞味期限が来たときに、自分の価値・存在意義が途切れてしまうのではないかと捉えた。
しかし、その考え方が間違っていたのかもしれない。
人は年齢も性別も立場も関係なく、自分の選択で生き、その選択に責任を負っている。
どう生きるか、自分にどんな価値を見出すかは、自分自身の問題。
“私は、35歳だから賞味期限だ。仕方がない。”と、賞味期限という言葉で都合よく“諦める”思考へと導こうとしていた。
私は独身。結婚願望なし。子どもなし。の35歳。
両親の結婚への願いに答えれないことに正直、罪悪感を持っている。
しかし、自分の時間を満喫し、仕事には真剣に向き合い、彼への想いも関係も大切にしている。
このまま、仕事中心・自分中心の生活でいい。
結婚したいと思えば、結婚を選択へ方向転換すればいい。
何か新しい挑戦がしたければ、すればいい。
今までも、今も誰にも恥じることはない人生を送っている。
これからも年齢を理由に何か諦める必要はないのだ。
人はいくつになっても、挑戦も変更も修正もできる。
賞味期限は誰にも決められない。
永遠に賞味期限が来ることはない。
年齢を重ねるごとに苦しんで、悩んで、選択して、乗り越えて、何か小さな幸せを感じながら生きていく。
賞味期限は誰が決めた Maddam @Maddam
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