妖怪ものだけど、現代ファンタジーじゃない。その理由は読めば分かります。登場人物も魅力的ですが、物語の根本となるアイディアが、妖怪でありながら確かにSFなのです。科学的思考であり、かつ、センスオブワンダーがあるのです。一風変わったSFを読みたい人にも、一風変わった妖怪ものが読みたい人にもお勧めの作品です。
妖怪を主軸に据えた架空生態系考察というのは、私の知識が浅いだけかもしれないが、なかなか目にしたことがない。着眼点もさることながら、生態系に対する豊富な知識と奇抜な解釈には毎度毎度舌を巻かされます。怪奇とは一味違う妖怪の恐ろしさを、ぜひ味わってほしい。