俺は精神障がい者だけど逆に今の方が人間らしく生きている

野口マッハ剛(ごう)

俺と統合失調症と人々の理解

 健常者の時と障がい者になった今では見えている世界も変わる。


 俺はあのまま健常者だったら、きっと何も成し遂げずに終わっただろう。

 毎日をアルバイトで言われた通りに仕事をこなす日々、いや、俺はマニュアル通りにすら仕事が出来なかった。

 統合失調症の症状である幻聴はある日突然に。


 直接の原因は診断でもわからず。


 世界が終わった気がした。

 俺の世界だけが。

 症状は悪化の一途をたどり入院にまで。


 入院している間には涙を流している俺。

 家に帰りたい。

 早く治ってほしい。

 神さま、助けて。と。


 俺の左手の甲には、無数の根性焼きとハサミの刺し傷。どうしようもない感情の末の傷痕である。助かりたかった。


 退院。

 俺はまだ症状が本当はあった。

 けれども退院。

 ウソの症状説明で医者には治っているように見せかけた。

 でも、現実は治っておらずに、そのまま精神障がい者になった俺。


 過去の先輩方である障がい者たちの社会的運動によって、今の俺は地域に暮らすことができる。頭があがりません。

 そんな俺は文学学校に出会い、学び、希望を捨てずに未来を見る。


 いつか、先輩方である障がい者の皆さんや、両親を始めとする家族、親戚、周りの皆さんに、俺はこんなことができたよ、と報告したい。


 それは、感謝の気持ち、ありがとうございます。

 果たして俺はどれだけの人々にこの感謝の気持ちを伝えられるだろう。


 現実は確かにデコボコ道かもしれない。

 けれども、諦めなければ道は続く。

 無関心、差別、こうしたことも現実にはあるだろう。


 でもね、諦めなければ道は続くよ。


 俺が先頭に立ってもいい。


 だから、皆さん。


 病気のあるなし関わらずに、いつか心が満たされる社会を共に創りましょう。


 俺には文学を書くことだけしか出来ないけど、ひとりの文学者として社会を見守ります。


 ご清聴ありがとうございました。

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