第8話 序章 エピローグ
戦闘が終わり、一息つく余裕ができた。
俺と槍チンはモグラ野郎の爪をはぎ取る作業。毛皮?はぎ取るの面倒で重い癖に二束三文なもんいらんわ。
怪我をした新人AとCの手当ては新人B、フィフティナインティ、ミラちゃん、ルミナが行っている。……ルミナ、お前こういうのめんどくさがる奴じゃないのか?
新人達は美少女二人に介護され顔を赤くしていたが……そのうちの一匹、やべーやつだからな。知らぬが仏ってか。
そして患部に水をかけて布で縛っただけな簡易的治療……と呼べるかも怪しい行為が終わり、洞窟深部へ行くことを提案する新人チーム。なんでもゴールが近そうだし証だけはなんとしても手に入れたいのだとか。お前らこっから先お荷物にしかならんじゃん寄生かよ。
そんな彼らと共に最深部へ。最深部と言っても普通に行き止まりがあるだけで、そこに簡素な木箱によくわからん記号の書いてある札が大量に入っていた。これが証かな。ってことで人数分確保。
途中大人がギリギリ這って通れそうな穴があったが、おそらくあのモグラ野郎が開けたのだろう。
そのまま特に何事もなく洞窟を出て、帰路につく。
アイアンモールの爪は治療費として一本だけ新人チームに渡したらどうかと槍チンに提案されたので、仕方なく渡すことになった。その代わり槍チンはいらないらしい。……お優しいことで。正直どんだけ譲歩しても槍チンチームに一本渡すかどうかだと思っていたので、一本で済むならまあいいかと承諾。ほとんど俺が倒したようなもんだし残りは総取り。……そんな金にはならんと思うが。
そしてギルドに顔を出し報告。例に盛れず微妙な受付嬢に対応され、札を渡して依頼達成を報告する。傭兵ギルドのカードを受け取った……ランクはもちろんブロンズ。
その時アイアンモールが出たと言って爪を見せてやったらやけに驚いていた。なんでもこんなこと今まで一度もなかったそうだ。ほんとぉ?
そして依頼外の買い取りとしてアイアンモールの爪を全て買い取ってもらい、宿へと帰る。途中でその金を使ってちょっと豪華な食事を取ることにした。ガッツリ目にスタンプボアとやらの肉を使ったステーキ。味は僅かに臭みのある豚……か?香草で誤魔化してあるからそれなりにはイケる。前世の食べ物が美味すぎたってのも問題だなこれ。
「へへー!ご主人、これおいしいねー!」
この猫、さっきからやけに機嫌がいい。肉が好きなのか?いや、思えば町に帰る時からずっと機嫌がよかった。ご懐妊かな?
宿に帰るとルミナはもったいぶりながらも笑顔で小さな袋のようなものを見せつけてきた。
「じゃじゃーん!これ、なーんだ?」
ズタ袋のようななにかにしか見えないが……ん?
ルミナはその小さな袋を横に振る。……ジャラジャラと金属がぶつかり合うような音が聞こえてきた。おいおい……まさか 。
「きしし!探索に財布持ってくるとかバカだよねー」
おそらくこれは新人AかCの財布だ。この猫、やることしっかりやってんじゃねーか!
哀れ新人チーム。彼らは今頃モグラとの戦闘の時に落としたのかもとか思って慌ててそうだな。
……ククク。いいね、いいじゃないか!それでこそ俺のパートナーだ!
「なかなかやるじゃねーか、泥棒猫!」
「へへーん!ご主人こそ!この薄情者!」
褒めてるのか貶してるのか分からない言葉をぶつけ合いながら、清々しい顔でハイタッチした。
……サッカーの試合でゴール決めたみたいに清々しい気分だが、実際やってることは一発レッドカード退場どころか即座に警官と捕まったエイリアンごっこするハメになるような行為なんだよな。……まあばれなきゃいいんだばれなきゃ!
悪人?クズ?なんとでも言え。善人という名ばかりの、力を持たずなにもできないだけの弱者になんて、俺はもう二度とならない。死ぬその時がくるまで、せいぜい好きに生きてやるさ。
ワガママニ! ~転生者は好き勝手して生きていく~ ダシマキ @dasimakiririn
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ワガママニ! ~転生者は好き勝手して生きていく~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます