他ユーザー様の自主企画に参加した際、メンバーの方からオススメです！と紹介されて、気になったので覗いてみた作品です。

あらすじは、測量の知識を持った少女が、ひょんな事で出会った用心棒達と一緒に、自分を育ててくれた人を探しに旅に出るお話。

王道な冒険ファンタジーって感じです。（主人公は少女なので、彼女はあんまり戦いませんが）

まず思った感想は、なんて安定感のある作品だろう、でした。

なんでしょう、安心して読み進められるんです。

安定感があるって、状況や背景や設定なんかがしっかりしているからそう感じるのだろうな、と思いました。

私の勝手なイメージなんですが、ドラクエシリーズみたいに、その世界お決まりのルールとか固定観念、基盤となるものがしっかりしていると感じられました。

ちゃんとそこに世界がある、と容易に想像できる作品なのです。

比喩表現として使われているものも、その世界観にとてもマッチしたものが選ばれていると思いました。

主要キャラクターは3人いるのですが、各キャラの立ち位置や役割もきっちりしていて、3人が話していると"いつものお決まり"が始まるんです。

それが見ていてとても楽しい。

児童文学風とタグに書いてるだけあって、台詞なんかはそんなに多くの感嘆符は付かないし、大声を出すシーンなんかも地の文でさらりと書かれているだけだったりするのですが、各キャラクターの心情がとても分かりやすかったです。

また安定感があると言いつつも、冒険もきちんと含まれています。

主人公のウネンが川に落っこちるシーンがあるんですが、岩や流木の流れる危険な濁流の中で、成す術もなくもがいている様がありありと想像出来て、凄いなぁ…と感動しながら読んでいました。

登場人物が不慮の事故にあうシーンって、その人物が次の状況を予想できずに周りの状況が変化していくので、描写するの難しいと思うんです。

そういったシーンで、人物の困惑した心理とか、否応なく進んでいく時間経過みたいな状況を上手く描写されている作品は、臨場感があって惹きつけられました。

多くの読者の方がレビューコメントでも言っていますが、伏線回収に驚かされます。

私はオーリの所で1番、Σ(ﾟдﾟ)ﾊｯ!!ってなりました。笑

この作品の世界の技術水準は、あまり高くありません。

彼女たちの旅路の中で織り成される日常は、昔の人達が歩んだ道でもあるのだよなぁとしみじみ思いました。

「当たり前のことが、当たり前にあるのって、凄いことなんだなあ……」

番外編でウネンがそう言うのですが、この物語を読んだ後だと、この台詞がとても心に染みます。

主人公のウネンは、"真実"を求めて旅に出ます。

無口な剣士と、胡散臭い魔術士を連れて、皆様もぜひ旅に出てみてください。

【九十九の黎明】へのリンク

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