純 by 夏緒 様
「執筆歴10年以上の作者の方、作品募集!」という自主企画に参加いただいた作品です。
私は意外とジェンダー的なお話が好きなのかもしれない。
前も百合的なお話や、男性が好きな男子高校生のお話を紹介しましたが、今回は逆に、ノーマルな男の人が好意を寄せられてしまう方のお話です。
こちらは特に、会話で読ませる作品だなぁ、というのが一番の感想でした。
会話文がとても自然で、こーゆー人達でこーゆー会話、ありそうありそうwとニヤニヤしながら読み進められます。
あらすじもなかなかパンチが効いています。
主人公は社会人男性のあきらくん。
彼が深夜のコンビニに逃げてくる所から始まります。
何やら尻に違和感が……。
どうやら親友だと思っていた男友達に襲われてしまい、家に帰れなくなっている様子。
友達だと思ってたのに。
この後どう接していけばいいんだ。
しょげていると、コンビニから綺麗なお姉さんが出てきて声をかけてくれます。
傷心中のあきらくんは、お姉さんに慰めてくれと甘えます。
ノリの良いお姉さん、なんとキスしてくれるじゃないですか。
このまま続きもやってくんないかな、なんて期待している所に、お姉さんの彼氏らしきオッサンが現れて……。
次の日になると、どうやらお姉さんとオッサンは同じアパートのお隣さんだった事が判明します。
朝になって顔を合わせた二人に、あきらくんは言われてしまいました。
「「昨日のケツ掘られてた方だ!」」
……なんと窓が開いてて丸聞こえだったようで。
どうしよう、もう俺、生きていけない。
果たして怪しいお隣さんと、関係を持ってしまった親友と、どう関わっていこうか、とぐるぐる考えるお話です。
基本はあきらくんの一人称視点で話が進むので、背景や状況描写は少ないです。
でも、その余白が思わず想像したくなる良い塩梅になっている作品でした。
全部が全部想像しなきゃいけないのではなく、会話や心の声から、周りの描写が自然とイメージ出来てしまう作品です。
1つの台詞の中に2つの話題をぶっ込んで会話してるシーンとか、会話文を巧みに使われる方だなぁ、と感動しました。
フラットな関係の社長との掛け合いでは、「くっそ腹立つその顔!」とか書かれていて、ついつい色んな変顔を思い浮かべてしまいました。笑
ボロアパートに住んでて、簡素な生活で、ご飯への欲求が強くて、自分の身一つでやんややんやしてる人達の話だから、周りの描写を必要最低限に削いであるのが余計にピッタリな印象を受けるのだと思います。
ただ、ラストちょい前だけ若干濃いBLが含まれてるので、苦手な方はそこだけご注意ください。
イチャイチャってか、あきらくん視点なので動揺してる様子と、淡々と過程が進むだけではありますが。笑
このタイトルの「純」について、考えながら読むのも楽しいかと思います。
意外と「純」なものって、澄みきっているようなものではなく、原液のようなベタベタしたものなのかも、と私は思いました。
あきらくんのお尻が心配になる、楽しいお話でした。笑
あきらくんとお隣さんのちょっとややこしいお話、是非覗きに行ってみて下さい!
【純】へのリンク
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