ハロウィン?
高坂 時雨
ハロウィン?
トリックオアトリートー!!
今日は10月31日、ハロウィン。
賑やかなとこでは、「トリックオアトリート!」という言葉が飛び回っている。
都会に行くにつれ、仮装した人々がハロウィンを楽しんでいる。
「東京渋谷区は、ついに恐怖の日が訪れました。ハロウィンを楽しむ人々で賑わう中、ゴミが散らばるなどの問題も起きています」
ニュースは今年も渋谷のハロウィンのことを言っている。
今年は、トラックが倒されたりと大騒ぎみたいだ。
だが、そんなことも知らず、渋谷のハロウィンに参加しようとする女がいた。
ユリー・マリス
今日は、彼氏と日本のハロウィンを体験することになり、はるばるヨーロッパから来たのだ。
17:30頃、副都心線渋谷駅からハロウィンの飾り付けをされた店が並ぶ、JR渋谷駅改札に向かって、彼女は歩いていた。
どうせ、ドレイゾルのことだから何も準備してないんだろうな。
ハロウィンと言いつつ、私達は仮装しないことにしたが、お菓子くらいは用意してもいい気がする。
でもしないのがドレイゾルだから。
そう思いながらJRの改札に立つドレイゾルを見つけた。
やはり何もなさそうだった。
ガブッ
「痛ぇー!」
こいつが、私の彼氏、ブラッド・ザ・ドレイゾル。
色白な小顔をし、輝く黄色い瞳をしている。
日本人男性の平均身長くらいかな。
そして、予想通り何も持ってない。
「お待たせー、ドレイゾル」
あ、噛み付くのはスキンシップみたいなものなんだ(笑)
「お前な、ほんといきなり噛み付くなよ」
私はえへへーと笑ってやると、ドレイゾルは呆れた表情をした。
さてと、行きますかー。
果たして、日本のハロウィンは、どんなものなのか?
「外はコスプレイヤーばかりだって言うし、私達も牙生やしましょ」
私とドレイゾルは、牙を生やし、目を赤くした。
実は私達、吸血鬼なのだ!
驚いたか?
まぁ安心して、あくまでも日本のハロウィンを体験しに来ただけだから、だれも襲うつもりは無い。
今のところは。
実際に駅の外に出てみると、予想はしてたが、歩くことすら精一杯な人混みがあった。
絶対にはぐれちゃダメね。
日本なら、人混みを利用してものを盗むような人はたぶんいないだろうけど。
だが、それを超えるさらに驚きがあった!
「ドレイゾル、あの人何やってるんだろう?」
アタックと書かれた箱をかぶる人、明らかにコスプレ用の制服を着た者、もはやお化けでもなんでもないもののコスプレをしてる人がいたのだ。
日本のハロウィンは、ヨーロッパにはない風情があっていいものだ。
その時はそう感じていた。
だが、10分くらい人混みに流されていると、前言を撤回させる最悪な光景を目の当たりにした。
プープー
「ワハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
騒がしいな。
車のクラクションや、ガラの悪い笑い声がした。
そしてそこは、金髪の男女の周りにゴミが散らばり、片手に酒を持って騒いでいた。
日本にもそうゆう人いるんだ。
まぁ、いないわけがないよな。
ってか、そこ店の目の前じゃないか。
そう思いながら流れに任せてると、殴りあいをしていて青い服着た人達に抑えられてる人、車にもたれかかってる人、炭酸飲料を人混みでぶちまけて笑ってる人...
地面を見るとゴミが散らばり、悲惨なことになっていた。
キャッ . . .
「どうした?」
「今、誰かにお尻を触られた」
今日だけで5回くらい痴漢にあっている。
日本のハロウィンって、ハロウィンじゃない。
「日本の人間ってイカれてるのね」
「そうだな、ハロウィンをなんだと思ってるんだか」
日本人は和の心を持っているとか聞いたが、それは絶対嘘だろ。
「私、こんなヤツらに牙を立てる気にもなれないわ、あいつらの血を吸う気にもなれない」
「いや、ならなくていい」
「私が人間だった頃はもちろん、吸血鬼になってからもこんなひどいハロウィンは初めてだわ」
「俺も」
渋谷のハロウィンに参加して、30分もせずに呆れるドレイゾルとユリーであった。
ハロウィン? 高坂 時雨 @siguretakasaka1280
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