第23話 セーブポイントはとても助かる
「終わったな」
そう言いながらリーダーが近づいてきた。
それに伴い、俺の体が重くなる。たぶん、スキルを解除したのだろう。
「終わりましたね」
俺もそう答えつつ、身体強化を解除した。
『お疲れ様です』
それをきっかけにラミアからも労いの声が掛けられた。まぁ、俺にしか聞こえてないけど。
「疲れましたね」と言いながら俺もリーダーの方へ向かおうとしたのだが予想外にフラフラらしく、その場に倒れ込んでしまった。
目を開けたそこは俺が寝起きしている部屋だった。
「おはようございます」
どうやら俺はあまりの疲れに眠っていたらしい。
フランシェスは寝ている間に俺の怪我を治療してくれたらしく戦いの後に感じていた痛みは消えていた。
代わりにとても体が重い。
『スキルを2つ重ねがけしたから当然ですよ』
「そうなのか?」
どうやらスキルの重ねがけは想定よりも体に負荷がかかるものだったらしい。それと回復による疲労が今の体の重さの原因のようだ。
ラミアの声はどこか嬉しそうだったのでおそらく後遺症等の問題は無いのだろう。
その後は広場に向かった。
なんでも祝勝会を開くつもりらしい。
まだ、脅威が完全に取り除かれた訳では無いがこういったことは重要なのだろう。
「おお、目が覚めたか」
広場につくないなやリーダーと出会った。リーダーも若干疲れ気味に見えるがそれを感じさせない陽気さがあった。
おそらく、これが大人の気配りというものなんだろう。
「すみません。迷惑かけて」
俺はとりあえずあの場で倒れた事に関して謝罪をした。
「ああ、あれか。別に構わんよ。その代わり、明日からのオークの掃討で頑張ってくれ」
リーダーはあまり気にしていないらしく、背中をバンバンと叩くと他の所へ行ってしまった。
俺は明日からのオークの掃討を人一倍頑張ることを決意しつつ、少し痛い背中を擦りながら壁へと歩いていった。
そして、一息。目の前には沢山の料理が並んでいるのだが正直そこまで食欲はなかった。
原因は疲れもあるけれど1番はオークキングをかなり凄惨に殺してしまったことが大きい。
今はもうないがその時はかなりの血を浴びたから少し気分が悪いのだ。
寝れば治るという訳ではなくこういうのは時間の経過が1番大切らしい。その内、そんなことも無くなるんだろうが。
「お疲れ様です」
隅の壁によりかかってゆっくりしていると一旦は別れたフランシェスが来た。
「おつかれ」
「今回はありがとうございました」
フランシェスは俺にお礼を述べた。
「全然、どういたしまして」
俺はそれがなんだか照れくさくてカタコトの言葉しか返せなかった。
真っ直ぐに褒められるとかなり恥ずかしくなってしまう年頃の俺なのだった。
それはさておき、今回の勝利で俺の果たした役割はあまり大きくないと思う。
照れ隠しとか、謙遜とかそういうの抜きにして普通にふつうにごく普通だったと思う。
『そんな事ないですよ。オークキング倒したじゃないですか!』
何やら、ラミア不満らしかったが正直俺はリーダーの言うことかラミアの言うことに従っただけな気がする。
だから、今回のことを振り返ると俺はより鍛錬をする必要がある。出来れば戦況を見抜く力も身につけたいところだ。
俺は戦い方(ゲーム内での)はある程度わかっていたがソロだったためにチーム戦においてはからっきしなのだ。
ましてや、指揮の仕方など全然分からない。なので今後はそういった所もリーダーから学び少しでも力をつけたかった。
この後は急に壇上に呼び出されたりして挨拶をフランシェスにお願いされた。というかマイクらしきものを渡された。
緊張から俺はそこで思いっきり噛み赤っ恥。見事に黒歴史を更新させたのだった。
しかし、賞賛の声を浴びるのはすごく良かったし、この世界の居心地も意外と悪くないと俺は感じ始めていた。
ゲームで異世界救済 神ノ木 @0480
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