後悔が後ろで座る夜に

蛇足なおまけ（読まなくても良いです）

※前話で感動した人は読まないでください

「お疲れ様です」

　とある研究室にて、助手の女研究員が、部屋に入ってきた男に声をかける。

　男は大きな薄茶色のフード付きコートを脱ぎ、椅子に腰掛けてから言った。

「状況は？」

「問題ありません。バイタル、脳波、全て順調です」助手が答える。

「後悔シミュレーションプログラム実践テスト、まず第一段階成功だな」

「ええ」

「人は失敗から学ぶ生き物とはいえ、取り返しのつかない失敗というのも往々にして有る。ならば、脳内の記憶に起こりそうな失敗をあらかじめ疑似体験させれば良い」

「今回のケースではどのようなシミュレーションを行ったんですか？」

「あの年頃に一番ありそうな挫折体験を盛り込んでみたよ、入ったは良いがやりたくない仕事、新しい環境になじめず、あげく妻に愛想を付かされ離婚といった所だな。その後十年経ったと思い込ませ、突然非現実な状況に陥ったかのように演出する。そこから救い出すことで『もう一度過去をやり直せる』と錯覚させることができるか？という検証もついでにやってみたんだ」

「さすがです、教授。洗脳効果も期待以上の数値が出ていましたよ。なにせ教授のお顔を見ても自分だと思い込んでいましたからね！」

「うむ、これが実用化すれば、犯罪率、自殺率、離婚率の大幅な低下に繋がるはずだ。今後も研究を進めていこう」

「はい！教授！」

（自分的にご都合主義すぎる気がして…ごめんなさい）