第3話
たけしの、耳元から、ずっと、女の子の、その声が聞こえてくる。めずらしいことでは、なかった。たけしには、前から霊感があったので、幽霊なんて、お友達だ。 今回もひつこいお友達に、つきまとわれている・・・・。自分が受けもった事件の、被害者だ。第一発見者は、そう、たけしだった。 だが、あいにく、たけしは、それどころじゃなかった。幽霊がすわっていそうな、壁にむかって、言葉をかける。 『しらねーーーよぉー!』『知ってても、今さら俺にはもう、関係ない』 公金を着服したという、根も歯もない、ぬれぎぬを、着せられ、くびになった上に、婚約者に、逃げられた。『しらねーーーよぉーー』 同じくなんの罪もないのに、殺されて、さぞかし、つらい身の上にある、女の子に、さえ、同情する、エネルギーも、たけしには、なかった。かわいそうに・・・・。本当なら、俺が捜査をうけもつ、予定だった。 たけしの、そんな態度を、幽霊は、いや、そのお友達は、さぞかし気に入ったようで、毎晩、夢の中に現れたり、部屋にいる気配がしたり、こえが、聴こえたりした。 しったこっちゃない。たけしは、偽善者ではなかった。つまり、根っからの、いい奴ではなかった。 『きみの捜査をしてもね、ぼくには、1円も、給料が支払われないんだよ。分かるかな?ぼくは、ボランティアでは、刑事をしないんだ。聞いたことあるかい?ボランティアの、捜査なんて』 『わたしをころしたの だれ』 直後に、返事があった ・・・・・。 無視することに、した。無視しとけば、消えるだろう。それか、捜査を代わってすることになった、竹森の、ほうへ、行ってもらえないか? なんなら、紹介しようか、ぼくではなくて・・・・・。 そう、思いながら、たけしは、眠りについていった ・・・・・・。
殺人事件A @yuukaizumi40
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