第12話 「逆襲」
グアム島の上空は今や日米の連合軍が支配しつつあった。
SSCエアクッション揚陸艇から降りたLAV-25A3装輪歩兵戦闘車の砲塔からデザートMARPAT迷彩の戦闘服の上から装具を身に着けて顔を出したリチャード・スティルマン少佐は久しぶりに見るグアム島の光景に目を細めていた。
グアム島制圧を進める米海兵隊第三海兵遠征軍は同島のキャンプ・ブラズ海兵基地を拠点としており、本来なら同島の防衛に当たる筈だったが、主力は揚陸艦により洋上待機を行っており、中国軍の侵攻の際には不在だった。
その不在間に戦場となり、あちこちの建物が廃墟に成り果てたグアム島を見てスティルマンはグアム島奪還を成功させることを心に誓った。
スティルマンは米海兵隊第三海兵遠征軍戦闘強襲大隊軽装甲偵察中隊に所属し、その攻撃の先鋒の役割を担う。
揚陸後、直ちに態勢を整えた軽装甲偵察中隊は、戦闘強襲大隊主力に先行してグアム島中部のグアム国際空港ことアントニオB・ウォン・パット国際空港へ向かって前進を開始した。
軽装甲偵察中隊の前衛としてLAV-25A3が六輌、それに歩兵を乗せたJLTV軽装甲装輪機動車四輌、そして支援のLAV-ATM自走対戦車ミサイル車輛等が続く。
地の利はアメリカにあり、スティルマンは勝利を疑っていなかった。上空は日米軍の航空機が支配しており、低空域でも連合軍側のヘリが縦横無尽に飛び交っている。
『日本軍の進撃が停滞中の模様』
砲手席に就くウォーレン・ヴァスケズ二等軍曹が呼びかけた。車内通話装置の中にもヴァスケズのだみ声が強烈な音声で響く。当人は頭を出して風を受けているため、伝わりにくいだろうと思って声を張り上げているが、いまいち聞き手の様子を伺うような繊細さは足りていなかった。
「敵と接触しているのか」
『不明です。ポイント21付近』
スティルマンは砲塔の中—―車内とは呼ばず戦闘室と呼ぶ――の戦術端末を確認した。LAV-25A3は初期型の延命プログラムによって維持されてきたかつてのLAV-25に比べ、パワーパックを更新し、各種モニターをデジタル化する等、大幅にアップデートされており、ネットワークによる情報統合指揮システムであるC4Iにも対応している。
そのC4Iによる
「もうすぐだな。
『了解』
相変わらずヴァスケズは怒鳴るように答える。悪気の無い、その不器用なヴァスケズにはもう慣れたが、スティルマンはこめかみを痙攣させかけた。
『
「差別用語はよせ」
スティルマンはヴァスケズを戒めつつ、砲塔から顔を出して前方を直接視察した。
この戦争が始まる前、日米は対立を深めた状態だった。世界規模の経済危機から立ち直り切れていなかったアメリカは自国の社会、経済建直しを図り、自国の利益を最優先するアメリカ第一主義の孤立主義政策を取って、国際的問題への関与を可能な限り控えた。
その中で膨らみ続けていた対日貿易赤字により日本に対し、一方的な貿易戦争に近い挑みを仕掛け、両国関係が急速に悪化した時期があった。
それは軍事的交流にさえも影響し、日本軍は恒例だった日米共同訓練の幾つかを取りやめ、
スティルマンは日本の
その危機感はこの米国領グアム島奪還作戦でも浮き彫りになった。時期的に間に合わないという理由でアメリカは日本軍に最も損耗率が高く、難易度の高い着上陸戦闘を押し付け、漁夫の利を得るが如く、安全が確保された海岸橋頭堡、空挺堡から戦力を上陸させている。日本軍の米軍への感情が決して良くないのは火を見るよりも明らかだ。
道路上にオレンジ色の布板が設置されている。友軍の合図だ。先頭車が速度を緩めたところで
日本軍が停止していた理由はすぐに分かった。現地の民間人の避難者の列が続いていた。日本軍は彼らを安全な場所に誘導しようと四苦八苦して進軍を止められていた。
スティルマンはヘッドセットを置くと戦闘室内のM4A1カービンを取ってLAV-25から降りた。
スティルマンのM4A1には海兵隊の標準的なACOG先進戦闘光学サイトとPEQ-16Aレーザーデバイスが取り付けられていた。それに加え、M18拳銃をレッグホルスターに携行している。
身に着けたファーストスピアー社製Gen3プレートキャリア、ECH戦闘ヘルメット、それに加え予備マガジンやその他持ち物が多数。
それらの重さを感じながらの二・六九メートルからの昇り降りはスティルマンの顔を歪ませ、アイセフティの内側に汗が垂れて流れた。その不快さを顔に出さないよう、スティルマンは日本兵に近づいた。
グアムの植生の色合いに合わせて顔をドーランで塗りたくった日本兵は凄みがあった。冷戦後、一気に軍縮に向かって舵を切った日本は陸軍の装備更新の速度を長らく落としていたが、この戦争に装備更新が間に合ったのはまさに僥倖で、下手をすると天下の米軍よりも最新の装備を身に着けていたりもするのでスティルマンは注意深く観察した。
一九八〇年代からほとんど形を変えない自身の持つコルトM4に比して二〇二〇年に制式採用された最新の人間工学に基づく設計の
彼らは兵、下士官に関わらずよく訓練されている。それぞれがコミュニケーションを取ることなく三六〇度に対して警戒態勢を維持していてどこかに穴が生じる所要があれば、誰かがそれを埋めて補い合っていた。
「米海兵隊偵察中隊のスティルマン少佐だ。空港に進みたい」
「日本陸軍海上機動第三連隊の古森大尉です」
誘導していた兵卒の後ろから若い士官が現れて言った。
「ハイウェイ10号線は見てのとおりです。4号線をこのまま進んで15号のマイマイロードへ迂回してください」
「最短ルートではないが、致し方無いな」
日本兵は肩を竦め、それ以上答えなかった。面倒ごとを悉く押し付けているようでスティルマンはその日本人士官に負い目を感じるとともに、彼の不満をありありと感じ取った。
「すまないな。ここから先、矢面には我々が立とう」
「ええ。我々は4号線へ避難民が流入して道を塞がれないよう、後続の部隊が来るまでここで待ちます。4号線はこの先、敵の機関銃陣地や障害が残っています。お気をつけて」
「了解だ。幸運を」
「そちらにも」
日本兵と分かれ、スティルマンは再び顔を歪めながらLAV-25の砲塔によじ登った。車上からヴァスケズがM240機関銃のグリップを握って警戒している。
「10号線からの進軍は出来ない。このまま4号線を進むぞ」
『了解』
停車していてヴァスケズの声は幾らかましな声量だった。戦術状況図のレイヤーを更新し、部隊全体に経路変更を共有する。
『前進準備よし』
操縦手の上等兵が車内通話で伝えてきた。
『
「了解。前進するぞ。それとヴァスケズ二曹」
『
「走っている時も同じ声量で構わん」
『
先頭のLAV-25が進み始め、スティルマンのLAV-25も前進を開始する。
「各車、この先日本軍が安全化していない経路だ。戦闘に備えろ」
『
各車が応答する中、頭上をヘリが飛び越えて道路上空を飛んでいく。UH-1Yヴェノム多用途ヘリだ。そのすぐ後ろをAH-1Zヴァイパー戦闘ヘリがついていく。
『ウルヴァリン2-1、こちらヤンキー67。針路上に検問所を確認。注意せよ』
「ウルヴァリン2-1、了解」
人民解放軍は即席の検問所をグアム島各地に設置して前哨を構築している。
「ウルヴァリン各位、前方に障害あり。2-4、偵察を実施。2-6はそれを援護」
『2-4、ラジャー』
先頭を進むLAV-25A3は増速し、先遣隊主力からさらに先行する。それと距離を保ってもう一輛が続く。
『前方、敵チェックポイント。敵影現在まで確認できず』
市街地手前に大型土嚢を組んでプレハブ小屋と共に作られた即席の検問所と陣地が見えた所で、先頭のLAV-25A3が触雷した。
「地雷だ」
地面を震わす強烈な爆発と共にLAV-25A3が沸き立った地面の中に消えた。次の瞬間、検問所から対戦車ミサイルが発射され、援護位置にいたウルヴァリン2-6のLAV-25A3を狙う。
「ミサイルだ!全車、散開!」
ウルヴァリン26は発煙弾を発射しながら機関砲を連射し、道路を離れて路肩に出る。
「横隊に展開。地雷に注意。敵陣地を叩け」
生き残った五輛のLAV-25が横隊に展開し、機関砲を速射する。高速連射で毎分二〇〇発の発射速度で機関砲を撃ち込む車輛もあれば低速連射で毎分百発の発射速度で射撃する車輛もいる。どの車輛も焼夷榴弾を使用し、敵陣地は紙のように吹き飛ばさていく。
そんな中、わずかな対戦車火器で応射が試みられ、発射地点には倍以上の砲弾が撃ち込まれた。
92式装輪装甲車が離脱を試みようとしていた。
「ガナー、十一時方向、APC、AP高速連射。ファイア」
『ファイア』
ヴァスケズが声を張り、25mm
離脱しようと車体後部を見せた92式装輪装甲車の車体後部にAPDSが吸い込まれ、コンバットタイヤが吹き飛んだ。よろけるように減速した装甲車に向かって僚車も射撃を行い、装甲車は機関砲弾にハチの巣にされる。
「下車戦闘」
敵陣地まで一五〇ヤードを切る位置まで接近し、スティルマンは無線に指示した。LAV-25の後部ハッチが開き、海兵達が飛び出していく。敵陣地に車輛単身で肉薄すれば敵の携行対戦車火器で容易く餌食にされる。歩兵を展開させて死角を潰し、陣地を制圧するのだ。
後方にいたJLTVから下車した歩兵も加わる。
デザートMARPAT迷彩の上からコヨーテブラウンのプレートキャリア等の装具を身に着けた海兵隊員が果敢に前進しては伏せ、射撃をして立ち上がり、前進しては伏せを各分隊ごと交互に繰り返して陣地に接近する。
彼らの前進を各車は同軸機関銃の制圧射撃に切り換えて援護しつつ前進した。
機関砲弾の集中砲火を浴びて破壊されている敵検問所に海兵隊員が突入し、掃討する中、LAV-25の各車は砲塔を旋回させて敵を捜索していた。
『ウルヴァリン指揮官、こちらミスフィット1-1。チェックポイント制圧。敵七名を射殺。二名負傷。死者なし』
「了解。負傷者を応急処置を実施し、車両に戻れ。前進を継続する」
スティルマンは命じながら地図を広げた。前進経路上には敵がチェックポイントを設置するであろう要所がいくつもある。地雷への警戒も必要で前進速度が低下することが目に見えていた。
「航空支援が必要だ」
グアム国際空港を今日中に制圧する計画で各部隊は動いている。遅延していることを司令部に報告するが、司令部は可能な限り急ぐよう急かしてきた。
第三海兵遠征軍の武装偵察中隊が島の中部と西部を遮断して火力誘導を行っているが、敵が態勢を整えればそれも突破され、中部の戦力比が跳ね上がることになるため、前進は急がなければならないのは重々承知だが、撃破されたLAV-25A3の搭乗員八名は戻らぬ人となり、無謀な前進はこれ以上出来なかった。
「再編成を完了次第前進を再開する。各車、態勢を完了次第報告—―」
スティルマンが無線に吹き込んでいる最中、突然ヘッドセットが空電音に覆われ、思わず顔をしかめて音量を下げた。
「なんだ、混線しているぞ」
何度か送信を試みたり、送信出力を上げて受信する電波を越える出力で割り込もうと試みたが、結果は同じだった。
「仕方ない。
「イエスサー」
ヴァスケズが無線と格闘している中、スティルマンはヘッドセットを外して車輛の外にいた兵士に声をかける。
「おい伍長、車長を呼んできてくれ」
「イエスサー」
「スティルマン少佐。予備周波数も駄目です」
「何?」
予備周波数に切り替えた無線も同様空電音に包まれ、受信状態で音声の送受信が出来ない。航空隊との周波数も同様だった。
「これは電子戦攻撃だ」
スティルマンの言葉にヴァスケズは顔をしかめた。僚車の車長達も無線が通じず困惑している。歩兵もだ。現代戦は
「面倒な真似を」
スティルマンは思わず呟いた。通信が妨害されることや不調になることは不測事態対処計画に基づいて対処することになっていた。予備周波数への切り替えなど、その手順に従って対処し、最終的には人から人への伝令通信が最後の手段だ。
LAV-25によって編成される軽装甲偵察小隊長のマルセル中尉が部下の軍曹と共に走ってきた。彼はスティルマンのLAV-25によじ登り、直接スティルマンと対面でコンタクトを取った。
「スティルマン少佐、無線が全滅です」
「強力な電子戦攻撃を受けているようだ。すぐには回復しないだろう」
「攻撃前進を中断して防御態勢に移行しますか」
「そのつもりだが、このチェックポイントでは防御には不利だ。移動するぞ。各車に伝えてくれ」
「イエスサー」
上空をパスしたAH-1ZとUH-1Yも無線が通じないためにこちらを窺っているようだった。
「手旗信号か発光信号で合図しろ」
「誰が出来るんです?」
「
アナログ技術は基本かつ基礎だ。これ無くして応用も発展もない筈だったが、今は学ぶべきことが多すぎておざなりにされてきた。手旗で合図出来る下士官がいたのでヘリに向かって信号を送ろうと試みた時、上空にヘリ以外の轟音が響き渡った。
「なんだ」
北西部を振り返った時、二機の戦闘機が姿を現した。そのうちの一機がフレアを放出しながらミサイルを発射する。発射されたミサイルはAH-1Z戦闘ヘリに向かって一直線で飛翔。AH-1Zは機体を垂直近くに傾けてフレアを放出しながら回避機動を取る。しかし戦闘機は二基目のミサイルを発射し、回避機動を取るAH-1Zにミサイルが直撃した。回避機動を取っていたAH-1Zは近接信管によって地対空ミサイルの破片を浴びて左エンジンとテイルブームを激しく損傷し、姿勢を回復できないまま地面に向かって真っ逆さまに落ちていき、地上に叩きつけられた。
「なんてこった」
UH-1Yも狙われていた。ミサイルを放った機の後方にいた機が機関砲を発射。曳光弾の火箭のシャワーがレーザーのように伸びてUH-1Yを捉える。
「ああ……!」
思わず嘆息が漏れる光景だった。急旋回していたUH-1Yはそのテイルブームと本体を断ち切られ、真っ逆さまに落ちていく。攻撃してきた二機の戦闘機は低空で旋回し、北東に伸びるグアム島の地形に沿って飛んでいく。
「今のは何です!?誤射ですか!」
「違う、敵機だ!」
あまりに一瞬のことで戦闘機の機種は分からなかったが、Su-27クラスの大型戦闘機ではない。消去法で行くとSTOVL戦闘攻撃機の殲撃J-14だ。強力な30mm機関砲を装備し、対地攻撃能力を有している。
「くそ。上空の航空優勢はどうなってるんだ。敵機の侵入を許しているぞ。林内に車輛を退避させろ。
敵機はおそらく地上を進むスティルマン達を視認している筈だ。無線が不通となり地上の友軍高射部隊も混乱する今、また舞い戻ってくるかもしれなかった。
「スティルマン少佐!敵です!」
マルセルが叫んだ。ディーゼルエンジンの甲高い音がグアムの山間部に響いた。友軍ではない。マルセルが指差す方向に目を転じると他の歩兵たちも気付いて慄いていた。稜線から姿を現したのはデジタル迷彩が施された鋭角なシルエットに砲身を突き出したまごうこと無き戦車だ。
「
「タイプ
スティルマンは思わず呟いた。中国軍最強の99A式戦車。まるで猛獣の咆哮の様に兵士達を震わせる回転数を上げたエンジン音が鳴り響き、弾かれたようにプレストークボタンを押す。
「対機甲戦闘!各個にミサイル発射!後退する!」
戦車は地上最強の兵器だ。ほとんどの不整地を時速六〇キロ前後の速度で突破し、高初速の強力な戦車砲の火力と、その火力を防ぎえる装甲防護力を持つ。装輪装甲車の自動車化歩兵では強固な陣地や地形の利用が無い限り、勝ち目はなかった。
「
最悪のタイミングだった。歩兵を収容中で、歩兵もまた陣地制圧のための下車戦闘に当たっていて対戦車火器等は携行していない。
「LAV-ATM!」
振り返ると後方に展開したLAV-ATM対戦車装甲車がミサイルランチャーを展開して射撃態勢に入っている。しかしすでに戦車の射程だった。
先頭の99A式戦車はしっかりと優先目標を見定めて主砲を発射した。125mm対戦車榴弾がLAV-ATMに直撃し、まず運動エネルギーを持ってその車体を震わせ、続いて成形炸薬弾頭の炸裂によって車体を破壊する。
「
ヴァスケズは応答する間すら惜しんで機関砲を射撃した。25mmM242機関砲が高速連射で射撃する。稜線からは次々に戦車が顔を覗かせ、最高速度を保ってこちらに射撃しながら突進してくる。各車が統制の取れないままばらばらに機関砲や機関銃を応射するが、敵は次々に主砲でこちらの装甲車を撃破していく。
海兵隊員達は阿鼻叫喚の混乱に陥っていた。
「
ヴァスケズがだみ声で叫び続ける。歩兵を置いて離脱するLAV-25や歩兵回収に拘るJLTV等、部隊は完全にパニックに陥っていた。無線での連携が取れず、スティルマンの指示も届かない。スティルマンは砲塔から身を乗り出して懸命に身振り手振りで指示を出さざるを得なかった。
「当たっていない!APに切り替えて撃て!」
「APです!」
ヴァスケズが怒鳴り返す。スティルマンが背後のL-ATVに離脱を手振りで指示していた時、敵戦車の砲弾が自車に直撃した。強烈な衝撃に体が叩きつけられ、身を乗り出していたスティルマンは腹とハッチの縁を打って意識を霞ませた。
「わあああ!」
ヴァスケズが戦闘室内で絶叫する。消火装置が作動し、消火剤が噴射されたが、HEAT弾の直撃を受けた車体から炎が吹き上がり、スティルマンは半身を焼かれながらなんとか転がるように車体から脱出した。難燃戦闘服によって最悪の被害は免れたが、スティルマン以外にウルヴァリン2-1から脱出できた者はいなかった。
スティルマンは全身に感じた熱から地面に転がったが、すぐに自身が大きな怪我を負っていないことを触って確かめた。炎上したL-ATVが惰性で地面に寝転ぶスティルマンに向かってきたため、横に転がるようにして避ける。
火の粉を被りながら顔を上げると歩兵が逃げ惑い、なんとか応戦しようとしている。SMAW肩撃ち式多目的武器を構え、対戦車榴弾を発射する勇猛な歩兵もいたが、戦車は同軸機関銃を連射し、曳光弾の束が彼らを薙ぎ払った。
「神よ……」
スティルマンの手元にはM18自動拳銃しかなく、無線も通じない今、なすすべもなく部下達が蹂躙されるのを見ているしかなかった。敵戦車は壊走する海兵隊軽装甲偵察中隊を蹴散らし、生き残りを放置してそのまま突き進んでいった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます