消化管の主な病気Ⅰ

1.逆流性食道炎

  胃の内容物が食道に(逆流)すると強い酸や消化作用によって食道粘膜に(ビラン)や(潰瘍)を生じる。下部食道括約筋の緩みによって、就寝中に起こりやすい。


2.食道癌

  60歳代の男性に多い。食道癌の90%は(扁平上皮癌)である。進行すると、大動脈、気管などに浸潤する。食道癌の原因は不明であるが、喫煙、飲酒、熱い食べ物、塩分の摂り過ぎなどがリスクファクターとされる。

  手術を受けた患者の5年生存率は44%程度であり、進行癌の(予後は不良)である。



胃炎

何らかの原因で胃の粘膜に炎症が起こり、広い範囲にビラン(ただれ)が生じた状態を(胃炎)という。急性胃炎と慢性胃炎に分けられる。



胃潰瘍、十二指腸潰瘍

本来なら食物を消化する胃液の強力な消化作用によって、胃あるいは十二指腸自体がおかされることがあり、これを(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)といい、食道や空腸の潰瘍を含めて(消化性潰瘍)と総称される。

いずれも胃液に含まれる(胃酸(塩酸))や蛋白分解酵素であるペプシンの存在が、潰瘍形成の重要な原因である。消化管粘膜の抵抗性を弱めるように働く攻撃因子と粘膜の抵抗性を強めるように働く防御因子の間のバランスが崩れたときに消化性潰瘍が発生する。


胃粘膜は、胃酸やペプシンによる(自己消化)を免れるために糖タンパクと複合糖質を含む(胃粘液)が粘膜表層を覆い胃液・ペブシンが直接粘膜に接触するのを防いでいる(防御因子)。

(ストレス・化学的刺激・物理的刺激)など何らかの原因で胃粘膜の血液循環が障害されると、粘膜の防御因子の力が弱まり、胃液・ペフシンなどの攻撃因子により、粘膜が破壊され、潰瘍が発生する。



胃がん

がんが胃壁をおかして広がる浸潤の深さによって、早期胃がんと進行胃がんに分けられる。がんの浸潤が粘膜内あるいは(粘膜下層にとどまる状態を早期胃がん)という。

(進行胃がん)では、食欲不振・体重減少・貧血・腹痛などが現れるが、無症状のことも少なくない。



大腸ポリープ

大腸の粘膜から隆起した突出物は全て(ポリープ)と呼ばれる。一般に茎をもった良性の腫瘍で、鼻・胃・胆嚢・子宮などにも発生する。

大腸ポリープは加齢とともに増加し、男性に多く発生する。(一部の症例では大腸がんに進展する)。大腸粘膜の広い範囲にわたって100個以上のポリープがみられるものを(ポリポーシス)という。その中で、遺伝的に発症するものを(家族性大腸ポリポーシス)といい、(放置すれば100%が癌化する)ので、予防的に切除することが重要である。遺伝性に幼児・小児に発生する若年性ポリポーシスは癌化することはないが、切除する。



大腸がん

大腸がんの好発部位は、(直腸・S字状結腸)で大腸がんの70%を占める。

大腸がんは欧米に多く、日本では少なかったが、食生活が欧米型になり動物性高脂質食の影響で、(我が国でも増加)している。

したがって、(早期発見が大切であり、便潜血反応検査)、注腸造影検査を受けることが望ましい。

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医学論 ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ @kouta0525

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