第24話
24話
竜は人間の国に戻った。
大工場地帯は変わらず稼動し人々の暮らしは元に戻った。
ユウの母親も妹もエルフが死亡したことで呪いが解け回復に向かっている。
母アリシアの両脚は膝から下が切断されてしまったものの義足を使えば日常生活に困ることはないそうだ。
それらをユウは女王の側近から聞かされた。
ユウとレギンは最後に病院を発った日から家には帰っていない。アリシアとベルニカにも会っていない。
「どうしたら僕たちは帰れるのですか」
ユウは謁見の間で女王陛下に頭を下げたまま聞いた。
「ユウ。お前はエルフを殺した。人類史始めてのエルフ殺しだ。エルフの国ではお前を指名手配にしている。時期に戦争になるだろう」
女王を含み笑いでユウを見つめた。
「帰ってもいいが、お前は上位種族に命を狙われる身だ。周りにいる人間もただでは済まんぞ? お前が家族と再会できるのは……、そう、エルフ族を滅ぼした後だ。命を狙う者全員を殺したその後だ」
「そんなの……」
「無理じゃないさ。私はお前を高く評価しているんだ。ノーマン亡き今私には実働部隊が不足していてね。私の元に来い。エルフを殺す手伝いをするんだ。そうすればいずれ家に帰れる」
「あなたはそれほどまでにエルフを憎んでいるのですか」
「いいや。ただ、我々は世界をあまりに知らない。そろそろエルフの奴隷も卒業という時が来ているのさ」
女王は笑った。
「期待しているぞ。人のみでありながら上位種族を殺した世界の敵よ」
ユウは無念の心中で目を閉じた。
完
灰雲喰らう歯車竜 5時青い @masa0531
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