二十二年 二月 「猫の子」
はじめにはっきり申し上げておきますが、わたしは猫が好きです。
それも「猫の子」なんて可愛い盛りの毛玉みたいなくせにシッポまであって、なんでそんなに可愛いんだあああ。ほらね、もう文章ですらない。この溢れ出る猫愛を俳句にしろとか、何言ってるのかわからない。猫は抱っこするものです。異論は許さん。
……ということで「猫の子」は春の季語です。傍題は子猫、猫生まる、猫親。
「猫の恋」という季語もあります。季節はやはり春。傍題に恋猫、猫
満腹の猫の子ヒゲは放物線
子猫は満腹になると、機嫌良くゴロゴロいいながら寝ちゃったりするんですが、そのあどけない鼻面からは、弾力性のあるひげが何本も生えています。これがピンと張って実に偉そう。そして目の上の、人間の眉毛にあたる場所からも、このピンピンひげが生えていて、どれも放射線を描いていて可愛いなあという句ですが、なにか。
猫の子や重なり合って眠りけり
子猫一匹でも悶絶するのに、複数で来られた日には敵いません。
どの子も段ボール箱が大好きで、特に狭いのがお気に入りで、ぎゅうぎゅうに混雑したまま幸せそうに寝ていたりするんですよ。これを俳句にするってか。俳句ってなんでしたっけ。
☆ 猫の子のあくびうつりし昼下がり
筆者が幼少の砌、家にはミーコという雌の年寄り猫がいました。年取ってると愛想もなくなって、わたしなんか存在すら認めて貰えない日々でした。そんな或る日、そのミーコがリビングの床で仰向けに転がっていたんです。別に体がどうかしたわけでは無く、転がりたいから転がっているのでした。そこでわたしも隣で同じポーズを取ってみたところ、ネコながらイヤな顔をされました。そして、ミーコが寝返りをうつと私も寝返りをうち、ミーコが伸びをしたので、わたしも伸びをしたら、爪を出したパーの前足で殴られました。相手は人間とは言え幼児じゃありませんか、心の狭いネコです。句とは関係ないエピソードですが、佳作でした。
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