二十一年 七月 「風鈴」
以前に「俳句生活・よ句もわる句も」は天・地・人・佳作の四段階(それと掲載されないボツ句)だといいましたが、実はもう一つあるのです。それが「今月のアドバイス」というコーナーです。そこには季語が違うだろっ!とか、季語を比喩として使うな!とか、文字化けで解読不能!とか、夏井先生のけしからん句が一堂に集まっているのですが、一番多いのが「季重なり」で、今回ここに捕まってしまったので入選作はありません。シクシク。
ひと吹きで風鈴生まる玉の汗
ガラス細工の工房を取材したテレビ番組を観たことがあります。その工房の職人さんが、細長い鉄の筒の先端に、燃えるバーナーでトロトロに溶かしたガラスの固まりを巻きつけ、筒の反対側から一気に息を吹き入れると、きれいに丸い玉の形になって風鈴が生まれるのです。そこに別の色ガラスで模様を描いたりします。
燃えるバーナーの熱さと繊細な仕上げの美しさが印象的でした。歳時記を読んでもとくに本意は書いてないのですが、一般常識として「風鈴は涼しげ」ということを詠わなければいけなかったかも。失敗したなあ。何しろ玉の汗だもの。
風鈴やエアコン嫌いな友を待つ
エアコンがダメだという友だちが訪ねてくれるというので、急いでエアコンを消して扇風機を回します。家の前には打ち水をして、窓は全開。そうだ、軒下には風鈴も下げましょう。蝉の声が近くなりました。やれやれ、いま気づいたけど、季語が主役になってないや。ボツ。
風鈴に涼風もらう垣根越し💢
日傘を差してなるべく日陰を探しながら歩いていると、手入れの良い生け垣のお家から、涼しげな風鈴の音が聞こえてきます。その心地よい音だけでひととき涼しくなれました。人間の感覚って不思議ですね。
というわけで「風鈴」と「涼風」の季重なりでした。「涼風」が季語だったのには気がつきませんでした。「涼し」が季語で、朝涼、夕涼、晩涼、夜涼、涼風がその傍題でした。不勉強!
涼しさに限りませんが、日本人の気温湿度の肌感覚って敏感ですよね。
それがまさかこんなに暑い夏にして気候を変えて、恐ろしいことです。
どこかの誰かに任せないで一人一人が地球人としての自覚を持ちたいです。
つづく
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