二十年 十月 「赤い羽根」
「赤い羽根」は十月一日から始まる募金運動ですが、暦の上だけだと季節感が希薄で難しかったです。そして募金と福祉事業。それから胸につける赤い羽根。ドラマ作りに四苦八苦しました。
むくつけき男の小銭赤い羽根
駅前で小学生や中学生が募金箱を抱いて「お願いしまーす」と口々にさけんでいました。そこへ屈強な大男がニッカポッカに薄汚れたチョッキを着て現れたと思ったら、全部の箱に少しずつ小銭を入れて、御礼を言われるのもそこそこに日焼けした頬を赤らめて足早に立ち去ってゆきました。
俳句としては上五中七で描写をして下五に季語を置きました。
☆☆ 握りしめた熱い十円赤い羽根
今度はお母さんに連れられた小さな坊やです。トコトコと献金箱に近づくと頭上から降ってくる「お願いしまーす!!」の声に逃げ出しかけましたが、お母さんの応援で我に返り、ここまで握りしめてきた熱い十円玉をポトリと箱に入れたのでした。そして中学生のお姉さんに赤い羽根を胸に挿して貰うと、得意そうにスキップして戻ってくるとお母さんのお尻に隠れました。人入選です。
☆☆ 赤い羽根付けて与野党審議入り
高級そうなスーツの胸に揃って赤い羽根を付けた国会議員の群れがいかにも忙しそうに国会に入って行く様子を詠みました。原発問題にしても憲法改正にしても自分や業界の目先の損得ではなくて、百年先千年先の子どもたちの暮らしを考えている国会議員がどれ程いるでしょうか。政治の根本は福祉です。赤い羽根を付けたなら付けたなりに全国民の代表としての覚悟を持って欲しいです。人入選でした。
つづく
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