十九年 九月 「秋思」
ほら、来たよ。難しいのが。
「秋思」なんて日常使いませんよね。「あたし、今朝、秋思しちゃったー」「ちょっと秋思すっから待ってろっての」こんな人、いない、いない。
秋思とは何か。全然分かんないので、歳時記から辞書から片っ端から読みます。木々が紅葉し夏の日差しが和らぐ頃、これといった理由も無いのに人恋しいような、もの寂しいような、秋という季節の愁いに沈むことを秋思といいます。
この膝に抱くもの居らず秋思かな
秋風が立つとなぜかもの寂しく、子どもでも子猫でもいいから抱きしめたい! でもうちには子どももいないしペット禁止だから、抱くと言ったら米袋(5kg)か時々通りかかる野良猫(危険)かなあ。ハグをすると脳内でオキシトシン(幸せホルモン)が分泌されるんですってね。抱きしめるならカピバラなんて最高かも知れない。体毛がふさふさしてるのがいいんですよ。そういえばヌートリアってカピバラと似てますね。ウォンバットもいいな。人間は体毛が無いから圏外。
泣くまいと空澄む秋を睨みけり
寂しいのも切ないのも秋のせいだ。だいたいなんでそんなに空が青いんだ。心を燃やせ! ……という気持ちで自分を奮い立たせちゃ俳句になりません。「けり」とか「かな」とか「や」は切れ字と言って全体の語調を調えたり、言葉に余韻を与えたりする俳句のテクニックです。「空澄む」は秋の季語だったので(知らなかった……)空澄む秋では季重なりです。(゚◇゚)ガーン。
☆ くぐもれる鳩の嘆きや秋寂し
雨が降りそうで降らないどんより垂れ込めた雲が切ないのか、鳩が辛そうに鳴くのです。こおーっぽぽぽう、こおーっぽぽぽう。そうだよねえ。ウンウン分かる。……という共感を俳句にしたら佳作に入選しました。
俳句は季語の理解から始まります。
季語には長い歳月をかけて先人達が練り上げてきた季節感が凝縮されています。
その感性と観察力の集大成が季語なのです。だから自分勝手な軽はずみな受け止め方では使えないのです。秋思という言葉の持つイメージ(本意)を歳時記や過去の名句やから汲み取って俳句を作るのが本道だと思いました。う~、難しい。
(今日のおすすめ俳句本)
「名句徹底鑑賞ドリル」髙柳克弘 NHK出版
有名な句をクイズ形式で読み解きながら、内容を鑑賞するという楽しい俳句の参考書です。自分が知識ゼロなので、有名な句や俳人についても解説して貰えて面白かったです。俳句は大好き。でも基礎の基礎から始めたい人向き。
つづく
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