夢だの愛だのをホザくやからを嫌っているはずの彼女は、自分の成るべき姿になって、今日も歌っている。あの頃と同じような歌を。夢を追い、叶えたように見える彼女は、その実、現実をしっかりと見据えていたのではないか。その逆に、一見「現実的」な生活を選んだ主人公は、かつてかなえられなかった夢をどこかに秘めて、今も生きている。どちらがいいか、悪いかの問題ではない。人とは、そういうものではないか。そんな人たちの交差点が、ここに描かれている。