超人は夢を見ない:ZARATHUSTRA HAVEN'T EGO

作者 藤井機斎

67

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★★★ Excellent!!!

パイソン・ポイゾネス――ニシキヘビの毒というコードネームを付けられた工作員によるSF潜入ストーリー。

まず読んで感じるのが、まるでその世界に入るような錯覚感。今回の舞台は砂漠なのだが、その風や砂の感触まで感じられる。そこにパイソンの緊張感が合わさってきているのがなんともいい。

ただ緊張感だけではなく大佐なる人物との会話の、ウィットな感じがクスリとさせられる。それが今回の清涼剤になっているかと(笑)

そしてこの作品の目玉と言えばまさにバトル。生身での戦闘もあればロボット『MB《マニピュレータ・バイク》』による金属同士のぶつかり合いもある。あらゆる武器を使ってのガチンコがこれまた震える。

ハヤカワ好きの方にはぜひともおススメです!

★★★ Excellent!!!

近未来SFの文脈の上に、巨大ロボット要素が乗っかって来る。
そんな作品を絶えず求めてしまうのは、自分のような者… ひいてはロボスキーという人種が欲張りだからなのでしょうか?
例えばハヤカワSFのミリタリSFを漁っている時でさえ、どこかで巨大ロボットが出て来てくれないか、という妄想を広げているのです。マジです。

しかし、なかなか見つからない。
そんな状況にあって、この超人は夢を見ないという作品は、まさに両ジャンルが適度に融合した雰囲気を描いてくれているのです。
ロボットアニメにSF要素が加えられているのではなく、あくまでハヤカワSFとして並んでいそうな近未来ミリタリSFの文脈にロボが違和感なく溶け込んでいる。これはなかなかニッチな需要ではあるのですが、まさに僕らが見たかった近未来ロボットモノの形です。

いささかゲーム的な雰囲気を残す場面もありますが、それ故に
「自分ならこの状況をどう切り抜けるのか」
「自分ならMBというロボットをどう配置しどう扱うのか」
そういった目線で楽しむことが出来るのではないでしょうか。

ここからの展開も含め、楽しみな一作です!

★★★ Excellent!!!

小説とは、作者の言葉遊びを読者がどのように体験するかのエンターテイメントだ。

この視点で評するならば、『没入感』という言葉をこの作品に贈りたい。

中身は、テクノロジーの応酬、ハードな世界に身を委ねる男達の世界。
反面、外見は美しい言葉で彩られた、未だ見ぬ世界の姿。

ポジ・ネガのような関係でありながら、表現として混ざり合ったこの作品は、読者を世界に没入させる。

そこに見えるだろうか、深きラピスラズリのように碧く美しい中東の夜に紛れる、二脚歩行車の立ち姿が。


『アトランティス人は夢を見ない』
——何故、超人は夢をみないのか。