第5話 綻び始める想い


彼女と付き合い始めて数ヶ月

僕と彼女の仲はなかなか進展しなかった

付き合って数日の僕は浮かれていた

思わず家の中でやったぞと言ったことは覚えている。

だが、想像以上に彼女との仲は今まで通りだった。一緒に帰って一緒に話すそれの繰り返しだった。前に彼女なら丸一日の部活休みはないか聞いたが平日に休みがあるので休日は休みなどないらしい

文学部とは大違いだがそれは仕方ないものなので僕の休日遠出するという希望は胸の中にしまっておこうと思った

後、僕は気付いてる

彼女があいつの姿を時々見てはまた僕の知らない顔をしていることを

でも、僕は何も言わない

彼女があいつを忘れるなんてできないことは付き合った時から知っている

それを分かっていて付き合ったのだ

そっと胸の中に思っていることをしまう

こんなこと彼女に言う話ではない

そんな彼女を見るたびに胸がチクリと痛むのはもう慣れた


そんな変わらない毎日が続いていく中で転機が訪れた。

そう、部活の引退である

僕は表には出さなかったが彼女と一緒にいられる時間が増えると喜んだ

しかし彼女は受験生だからといってより一層遊べなくなってしまった

だが、彼女と一緒に勉強をする時間が増えた

結果としては一緒にいる時間は増えたといえるだろう

しかし僕はもっとカップルらしいことがしたかった。

遠出というものもしてみたかったし男女のそういうこともしてみたかった。特に最近部活を引退したやつらがそういうことをしていたらしい

ということはあいつも少なからずそういうことをしているのだろう

そんなことを思ったら僕らが酷く遅れをとっているように感じた


この時僕は初めてあいつに対抗心があるのかもしれないと思った

でも、彼女を前にしたらそんなこと言えなかった。結局僕は胸の中にそんな気持ちをしまった。




ずっと思っていたことがある

彼女には言えない

彼女にだけは言えないそんなこと

僕が告白した時彼女はどんな気持ちで返事をしてくれたのだろう

もしかしたら彼女は断ると僕が悲しむと思って付き合ってくれたのではないのか?

あいつの代わりに僕を選んだのではないのか

でも、そんなこと口に出してしまったら全て終わってしまう。だからこの想いは胸の中にしまっておこう


でも、これだけは分かっている

彼女が好きなのはあいつだ

僕ではそこにはいけないのだと


そんなある日


突然だった


別れたって


あいつが?










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叶わぬ恋だと知っていても 多田野 怜 @valentine_tine

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