第28話 さらなる高みへ
「涼子達……?」
良太郎は怪訝そうな顔で白井に尋ねる。
「そうだ、全ての職業の上位は勇者だがその次に英雄だ。勇者も英雄も選ばれた人間しかなれない」
良太郎は頷きながら答えた。
「勇者も英雄もディアに認められた者しかその職業に就く事は叶わない特別な職業だ」
白井が頷き返す。
「ああ、だが実は英雄の職業にはさらなる上があるんだ」
良太郎が少し驚いた表情をした。
「ほう、さらなる上……か」
「さらなる上、これは俺が魔王を倒した後にディアと一緒に作った職業だ」
「先生とディアが……」
「そうだ、そしてその職業は『
「『
「『
「……
「もう一つ、サポーターもある」
「そうか、ってか俺はアタッカーだが、勇者になった事で極めたというわけではないのか?」
「『
「うーむ、それはすげーな…… って事は『
「わからん『
それを聞いた良太郎は口角をあげる。
「ほう…… それは心強いな、で? どうすれば涼子達を『
白井は少し緊張した面持ちをしている。
「そう、それが一番肝心だ、その方法は……たった一つだ。それはお前が涼子達を導き『
「何? 俺が? どうやって」
白井はディアを見て頷くと先ほどから黙っていたディアが口を開いた。
「勇者よ、これから貴方はまた、仮想世界で修行をしなければなりません」
「なんだと!」
勇者となり精神的に強くなった事で多少の事では動じない良太郎だが流石にこれは驚いたようだ。
「貴方が経験した仮想世界は勇者サナダの記憶を元に作り出したもの…… 今度、体験する仮想世界はこの者たちの記憶を元に作ったものです」
そういうとディアは両手を広げた。するとまばゆいばかりの光が放たれる。
「うお」
良太郎はその光の眩しさにも思わず目を手を目の上にかざす。そして光が消えると良太郎の目の前に見覚えのない五人の男女が立っていた。
「ん? 誰だ?」
目の前に立っている五人の男女はどうやら実物ではない。ディアが作り出したホログラムのようだった。
良太郎の問いにディアが答える。
「勇者サナダが魔王を倒した後、国同士の戦争が始まったのは貴方も知っているでしょう」
良太郎は黙って頷く。
「その戦争は300年ほど続き、今のメルクワトル王国が全ての国に勝利し国を一つにしました。この者たちはその300年の戦争で名を挙げた戦士たちです」
「ほう、なるほど」
良太郎は興味深そうな顔で五人を見る。
「この五人はそれぞれタンク、デバッファー、バッファー、ヒーラー、サポートの
「なるほど、この五人の記憶を元に作った仮想世界を経験するのか……」
ディアは微笑みながら頷いた。
「はい、貴方は仮想世界で五つの
良太郎はディアの提案に浮かない顔で質問した。
「だけど、この五人は『
その質問にディアの表情が少しだけ曇った。
「確かにそうです。しかし、貴方が五つの
良太郎は先ほどの浮かない顔を吹き飛ばすように笑顔を作る。
「まあ、やってみる価値はあるよな」
「勇者よ、この提案を受けていただけるのですか?」
ディアが尋ねると良太郎は大きく頷いた。
「ああ、任せろ。ってか今のところこれ以上の手はないだろう。やるよ」
「では早速……」
そういいながらディアは手をかざす。しかし、良太郎が咄嗟にそれを静止させた。
「ちょっと、待った。先生の仮想世界で五年だったよな? この五人の経験を体験するのにどのくらいの年月が必要なんだ?」
ディアは微笑みながら答える。
「この者達は"アース"の強さは勇者ほどではないにしてもかなり強いため不老 長生の力を得ています。そのため長い年月戦う事が可能でしたので、大体一人60年ぐらいです。ですので300年仮想世界にいていただきます」
「なにーーーー! 300年だとーーー!」
良太郎は目を丸くして驚いた。
イケてない俺がリア充たちと異世界へ転移して一緒に冒険するハメになったけど意外と悪くなかった 黒咲 @kawa2
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。イケてない俺がリア充たちと異世界へ転移して一緒に冒険するハメになったけど意外と悪くなかったの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
近況ノート
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます