第6話
あ、来た来た
「おーい」
改札からケイタさんが出てきた
「お待たせ」
「お疲れ様、じゃ行こう」
携帯のおかげで待ち合わせが出来るようになった
服のポケットに入れておけば
浮いてるようには見えない
スーパーで買い物してから帰るために今日は駅まで迎えに来た
「グラタン食べたいな」
「グラタン作れるよ任せて」
「さすが大臣ヨロシク頼む」
敬礼してきた
「了解大統領」
敬礼で返すけど
だから私は他の人には見えてないのに
ケイタさん、、、
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
洗濯物も終わったし掃除も終わっちゃった
夕飯の準備は早すぎるしなぁ、、、
外でも行ってみますか
お化けって退屈だなぁ
おじさんの前でこんなことしても
お姉さんにこんなことしても全然反応してくれないもんなぁ
ケイタさん居なきゃ本当につまんない
公園の鳩でもからかってくるか
あの子、、、私と一緒だ
季節外れのマフラーを首に巻いて
寂しそうにしている男の子がいた
「ねぇねぇ少年」
「わ!なんだ姉ちゃんもお化けか」
「そうだよ、なに見てたの?」
「なんも見てねぇよ
オラヨ!」
「あ!コラ!待て」
あのガキスカートめくりなんてしてきやがって
「あっかんべー!」
「くそガキ!捕まえた」
「ほらよーっとタッチ
姉ちゃんいい乳してんな」
「キーーーーっ!
頭来た!許さん
待てー!!」
「はぁはぁ
まだ追いかけてくるのかよ
あーー
もう降参!まいった!」
「パーンチ!」
「うげ!悪かったよごめん!
ごめんなさい」
「まぁそこまで謝るなら許してやるかな」
「ところでなんか用?」
あれ?そういえばなんで話しかけたんだろ
「うーん特に用はない
暇だったからかな」
「暇潰しかよ!」
「私ナナコあんたは?」
「俺タツヤ」
「タツヤね
あんたいつもここにいるの?」
「うんいるよ」
「暇なとき遊んでやるよ」
「え?いい俺は暇じゃないし」
「生意気ー
また明日な」
頭を撫でてやった
うざったいって顔してたけど
また明日来るぞ
▽▽▽▽▽▽▽▽▽
「おっぱい触られたの?!
俺もまだなのにけしからん!」
「そういう目で見ないでくれる?汚らわしい」
「そんな目で見ないで
てかナナコの他にもお化けいたんだなぁ」
「居るでしょ
明日もからかいに行く事にした」
「へぇもう友達じゃん」
「友達じゃないよ
からかいに行くだけ」
「そうかそうか良かったな
楽しんでおいで
それでさこんな服もたまにはいいんじゃないかなーっと思って」
ナースのコスプレ写真を見せられた
「やめろ!変態!」
しばらくして私はナース服に変わってしまっていた
嵌められたクソッ
ケイタさんはご満悦な顔をして私に殴られた
ほんとバカ
▽▽▽▽▽▽▽▽▽
「お、いたいたタツヤー!」
「あ、本当に来たんだ」
「暇だったからな
今日も鬼ごっこでもする?」
「姉ちゃんガキかよ」
「お前もガキだろ!ほらタッチ
鬼はタツヤ」
走って逃げた
「あっちょっとズルい」
タツヤも追い掛けてきた
「はぁはぁ
ちょっと休憩、休憩!」
「なんだよー盛り上がってきたとこだろぉ
姉ちゃんじゃないな、オバチャンだな!」
タツヤはやっと年相応に無邪気に楽しんでるように見えた
「お姉さんです!
どう?楽しいでしょ?」
「うんまぁ」
「もっと素直に楽しいですって言えよぉ」
少し可愛がってやった
「や、やめろって」
「タツヤってなんでここにいるの?」
「、、、俺最近死んだみたいなんだけど
ほら、あいつ」
タツヤより少し年下ぐらいの男の子が一人でブランコに座っていた
「あの子?」
「うん
弟なんだ
俺に付いてきていつも一緒に遊んでたから
あのグループにもあのグループにも入れないみたいなんだ」
「そうなんだ」
「俺と違って無口だし
根性もないし泣き虫だから
遊ぼって言えないんだ」
「それで心配なんだ、、、
あと弟くんとまた一緒に遊びたいんでしょ?」
「うん
大事な弟だから
俺が病気になってからずっと遊んでやれなくて」
すごく悲しくてどうにも出来ない想いが
タツヤをこの世にとどまらせてるんだ
なんとか出来ないかな
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
「なるほど」
「なんとか出来ないかな」
「その子はナナコみたいに触ったりもの動かしたり出来ないの?」
「うんダメだって
だから眺めてることしか出来ないって言ってた」
「ナナコが手伝ってやったら?今度の休みなら
俺もついていこうか?」
「いいの?」
「もちろん
じゃー準備を始めますか」
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
弟くんと思わしき子供がブランコに座っている
時々遊んでいる子供たちの方に目をやっては
寂しそうにしている
「あの子だな?」
「うん」
「タツヤくんはいるの?」
「うんあの隣のブランコに座ってる」
「タツヤ呼ぶね
タツヤー!」
「あ、姉ちゃん」
「こっち来てー!」
なんとなく空気が変わった気がした
「来た?」
「うん来たよ」
「姉ちゃん生きてる人と話できるの?」
「うん私の彼氏だよ」
「へー俺のがいい男だな」
「あ、本当かわいくないな」
「そのマフラー」
「そう、タツヤと同じやつ
これはこの世の物だから弟くんにも見えるよ」
「それじゃあいつ俺がいるってわかるかな?!」
「うんきっとわかるよ
やってみようタツヤ!」
「このおじさんが見つけてくれたのか?」
「ふ、おじさんて
そうだよお礼言いな」
「おじさん、ありがとう
まーまーいいやつじゃん」
「おじさんありがとうだって」
「うんうん、、、
え?おじさん?」
「じゃおじさんちょっと言ってくるよ」
おじさん、、、
いってらっしゃい
手を振って見送りベンチに座った
おじさん、、、
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
「で、どうするんだ姉ちゃん俺そのマフラーさわれないよ」
「私が首に巻く
で、タツヤをおんぶする」
「なるほど!」
「よしやるぞ」
タツヤをおんぶして弟くんの前に立った
「トシヤ!トシヤ!」
弟くんにはマフラーが浮いてるように見えるはず
びっくりして逃げないかな
「そのマフラー、、、、
にい?にいなの?」
うんうんと大袈裟に首を縦に振ってみせた
「本当に?」
うんうん
「にい、、、会いたかったよ」
泣き出してしまった
タツヤもどうしていいかわからず
泣き出してしまった
「ごめん、ごめんなトシヤ」
「めそめそすんな!鬼ごっこするぞ!
弟くんにタッチするよ」
「うん、、、、うん!」
弟くんにタッチして走り出した
「にい?あ、待って!」
よし、追い掛けてきた
「トシヤ!こっちだ!こっち!」
「にい!待って、待ってよ!」
「姉ちゃんこっち!そっちはダメ!
こっち!捕まっちゃうよ!
トシヤ!こっちこいよ!
ハハハハ」
「にい!待て!にい!
ハハハハ!」
二人はあの頃みたいに無邪気に駆け回った
「いて!」
弟くんが転んでしまった
起こしてあげようと近付こうとした
「ダメだ!姉ちゃん
自分で立たせなきゃ」
「痛い、痛いよ、にい
立てない、前みたいにたたせてよ」
「ダメだ!トシヤ!もう、にいは居ないんだぞ
自分で立てよ!トシヤ」
タツヤの声は聞こえないでも聞こえて欲しい
立って弟くん
「うう、うう、もういいよ!
自分で立つよ!」
トシヤは自分で立ち上がって身体についた砂を払った
「待て!にい!」
走ってこっちに来た
「よっしゃ!やったトシヤ!
姉ちゃんもういいよ」
タツヤは安心した顔をみせた
「わかったよあとは任せて」
子供達のグループが遊んでいるところまで走った
「あ、トシヤ、、、、」
子供達が弟くんに気付いた
弟くんも知らずうちに近くまで来ていた事に気付いて気まずそうに立ち止まってしまった
マフラーを弟くんにそっと巻いた
「頑張れトシヤ」
「わかったよ、にい
ねぇ一緒に遊ぼう?」
弟くんは輪の中に入れてもらえた
子供達はタツヤを失った弟くんにどう接していいかわからなくて何も出来ずにいたみたい
きっかけさえ出来ればすぐ元通りよ
もう元気に駆け回っている
良かった
「姉ちゃん、ありがとう」
「どういたしまして
本当に暇になっちゃったねタツヤ
またいつでも遊んでやるよ」
「姉ちゃん俺もう遊べないや
行かなきゃ」
「行くってどこに?」
「天国かな」
「え、待ってよせっかく友達になったのに
また遊ぼうよ」
「今度は姉ちゃんの彼女になりたいな」
タツヤが近寄ってきた
「ああ!」
「本当姉ちゃんいい乳してんね!」
「コラ!くそガキ!逃げんな待て」
「バイバイ」
想い残すことはない最高の笑顔でタツヤは消えていった
「バイバイ、くそガキ」
ケイタさんが近付いてきた
「上手くいったじゃん
弟くん楽しそうに遊んでるじゃん
ん?ナナコどうした?」
涙が溢れてきた
「あの子成仏しちゃった」
「え?そうか想い残すこと無くなったんだ」
「せっかく友達になったのに」
「なぁナナコ
ナナコもいつか成仏するのかな」
「しないよ私ケイタさん死ぬまでしない」
「そっか
良かった」
そういってケイタさんは優しく頭を撫でてくれた
お化かな彼女 @sm2316
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