それはまるで、星のように
勝利だギューちゃん
第1話
星を見るのが好きだ。
満天の星空を見ていると、心が癒される。
ここは都心から離れているので、かなりの星が見える。
でも、悲しい事に、星の名前はわからない。
さすがに家からは限界があるので、近くの高台に登る。
ここでは、満天の星空が展望できる。
まさしく、天然のプラネタリウムだ。
やはり、本物のほうがいい。
同じ事を考える人は多いもので、よく人を見かける。
しかも、殆ど同じ人だ。
その中に、いつも天体望遠鏡で、星を見ている人がいる。
私と同じ歳くらいの、男の子だ。
最初は、遠目に見ていたが、私も見せてもらいたくなり、声をかけた。
「見えますか?」
私は、返事がないのが不安だったが、
「見えますよ」
そう返事が返ってきた。
余計な心配だったようだ。
「見てみますか?」
「いいんですか?」
「ええ、どうぞ」
私は遠慮なく、覗かせてもらった。
そこには、肉眼では見えない星が、たくさんあった。
しかも、かなり大きい。
「土星の輪も、はっきり見えるんですね」
「ええ」
「あなたのですか?」
「まさか、レンタルですよ。
「そうなんですか・・・」
私は、いろいろな星を見させてもらった。
とても、奇麗だった。
でも・・・
「遠くから見ておいた方がいい事もありますね。何事も・・・」
男の子は、意味深に続けた。
「人間もそうですね」
「えっ?」
「近くにいるより、遠くから見守ってた方が幸せなこともありますね」
私はしばらく考えて答えた。
「本当にそうですね」
星は遠くから見ているからこそ、美しい。
人も憧れているだけのほうが、幸せかもしれない。
彼とはその後は、会う事はなかった・・・
それはまるで、星のように 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます