爆発した私の羞恥心

 

 喪女子っ、フルコンプしたどー! 


 同志の皆さま、ご無沙汰致しておりました。喪女子は元気です。同志ならこの音沙汰が無い期間を、あー、あいつルートで手こずっているなと察して頂けた事と思います。攻略本片手に何度も何度も……なんであいつ、あんなにランダム要素多いんだよ! どんだけ隠しておきたいんだ。

 まあ無事、あやつの初めての笑顔を拝見出来たので満足です。え、ネタバレしませんよ? 一言いうなら……あいつヤヴァい。まだの同志よ、健闘を祈る! 

 


 さあ恒例の黒歴史話しですが……前回の次回予告は嘘だ。すまない。

 いやね、不憫先輩や荒淫先輩も絡みますよ? ただ出番が少ないんだなこれが。ほら私は彩友里視点なわけじゃないですか、だから不憫先輩やらが何か頑張っても分からないわけですよ。

 なので期待を裏切ったらごめんね! てへ!


 えーと、鶏小屋イベントまで話しましたっけ。マイエンジェル彩友里と高潔先輩の鶏小屋愚痴大会の後ですね、高潔先輩は彩友里を見かけると声をかけるようになったんですよ。挨拶だけの時が殆どなんですが、そこは空気の読めるサポートキャラな私がいるのです。何だかんだ理由をつけて高潔先輩と彩友里を二人にさせてあげましたとも! 九割の確率で彩友里も私に付いてきちゃったけどね!!


 彩友里たん空気読もうよっ、高潔先輩が寂しげな視線で君を見送ってるよ! 図書室で本借りて来るって言えば、選ぶの手伝うよとかってどんだけ友達思いなんだよ! 彩友里愛してる!!


 そんな感じでガードが堅すぎる彩友里たん。彩友里たんの心からのエンジェルスマイルを男性で唯一向けられるのは意外や意外、ミスティー先輩だけでした。

 ミスティー先輩のふふって笑いを聞くともう二人して笑っちゃうんです。うん、ミスティー先輩ドンマイ。笑い顔だから私は間違ってない。


 ガードが堅いのが逆に想いを募らせるのか鶏イベから大分経った辺りでお出掛けに誘われたんです。


  私 が 、 不 憫 先 輩 に !


 不憫という名称のせいか残念なイメージを持ちますが不憫先輩はイケメンランキングNO3に輝くイケメンさんです。個人的には不憫先輩は30代後半だったらよかったのになとか思いますが、喪女子の人生でもうこんなイケメンに誘われる事はないと確信できる。

 不憫先輩、ありがとう! それが高潔先輩の為だって勿論理解してるけど感動をありがとう!


 まあ、ありきたりで見え見えなダブルデートの誘いでしたよ。映画だったかな確か。彩友里とセットな私に不憫先輩がお誘いすれば……マイエンジェルは心配するわけですよ、私を。


 私が、不憫先輩に、襲われないか、と(笑)


 うん、ないからね~。それはどう転んでもないからね~。逆に私が不憫先輩をどうにかするんじゃないかと普通の感性の人は心配するよ~。


 誘われた私を心配して彩友里たんが大丈夫? って言ってくれて、んで不憫先輩の顔をうかがうと、目が全てを物語っていたね。彩友里たんも誘ってお願~いお願~いって(笑)

 サポートキャラとしては本領発揮しないでいつすると言うのか! 私の彩友里も一緒に来てもらっていい? の一言で万事解決さ! その時に不憫先輩とメアド交換したんだけど、その日の夜に感謝メールが来た。あとちゃんと今回の目的とダシに使ったことへの謝罪文も送られてきた、マメすぎて余計不憫に感じる。

 

 ダブルデート当日は……皆さまの予想通りってかんじでしたよ。不憫先輩的には私の相手をして高潔先輩と彩友里をゆっくり話せるようにしたかったと思うんですが……結果、私は両手に花でした! 

 右にマイエンジェル、左に不憫先輩。高潔先輩は……どこに居たんだろうか。あんまり記憶にないな。心配症彩友里たんが不憫先輩に睨みを利かせておりました。彩友里たん結婚して!!


 そんな感じで初デートは終了致しました。高2の夏までには不憫先輩や私の努力もあって彩友里たんも少しは高潔先輩と話す様になりました。先輩達が卒業して頻度は減りましたが遊んだりして、今でもたまにお誘いがあったりします。まあほとんど断りますけどね。


 そう! 私は気付いてしまったんです!! なににって? 自分の痛さにですよ!!

 あれは就職か進学か決断を迫られる時期……ふと思ったんです。


 私、なにやってんだろ、って。


 その日の夜は枕に顔を埋めてベッドの上でバタバタしました。自分の己の所業を思い出し恥ずかしさで一杯でしたね。リアル乙女ゲーって、自分がサポートとかって、どんだけ痛い勘違い女だっつうの。


 私は縁あってこじんまりとしたアットホームな小さい会社に就職を、彩友里は進学を選びました。

 高3の時も不憫先輩や高潔先輩に協力はしていましたよ。自分で始めたことなんですからちゃんと責任とります。サポート期間は高校在学中だけですけど。よく考えれば18歳過ぎても自分で誘えないとかどんだけヘタレだよ。気付いてしまってから高潔先輩をみる私の目はシビアです。


 え? 荒淫先輩? そんな人いましたっけ? はい、ちょい役ですが少しは彩友里と絡んだかな。意外かもしれないですが大体絡まれるのは私なんです。高潔先輩や不憫先輩と話してる時に現れたのが初めてだったんですが、どうも麗しい三人とデブスな喪女子がいるのがお嫌いなご様子でした。友達をダシにいい男に媚びへつらって潜り込もうとしてると思われているみたいです。ってか直接原文ママで言われたわ!


 でもまあ、そう思うのが普通ってもんですけどね~。そんな訳でたまに現れては罵詈雑言を私にたっぷり浴びせて去っていく。これが荒淫先輩のパターンです。私はMではないので無理です、以上!


 まあ恋愛イベント盛り沢山のまじ乙女ゲー展開を3年がっつり間近で眺める事は出来ましたが……どうか第2第3の私が生まれませんように。とんでもない黒歴史として生涯己の胸を痛め続ける事でしょう。


 ただ後悔していない事もあります。あの時、動機は不純ではあったけど彩友里に声をかけた事だけは自分を褒めて称えたいです。彼女とは、今でもとても仲のいい親友です。


 喪女子の痛い黒歴史に長々お付き合い下さった同志に感謝を。ありがとうございました。


 

 次は来月発売のモンスタータイトル初代のリメイク版発売後に会いましょう!

 楽しみですね、うひひひ。













_______




 投稿ボタンを押して、ふうと一息。そのまま残り少なくなっていた缶チューハイを空にした。


 自分の黒歴史を思い出して、後悔している後悔していない部分はあるし羞恥にだって襲われる。それでも、未だに一つだけ残念でならない事がある。


「彩友里の恋してる姿がみたかったなあ」


 誰にも言えない思いだ。もう自分はサポートキャラなんて者でも、画面越し気分の傍観者でもない。痛い遊びは終わったのだ。


 あれから月日は流れて彼女と自分も成人を済ました大人だ。自分は社会人数年目、彼女は今年の春で大学を卒業である。成長するにつれて彩友里の美貌はますます花開た、なのに彼女には浮いた話し一つ聞かない。それどころか大学を卒業したら部屋を借りてルームシェアをしようと言われている。


 実家住まいの身としては一度は親元を離れてみたいと思っていたし、相手が親友と言える彩友里ならばと喜んで約束を交わした。だが、一緒に暮らすことで彩友里が男性と知り合う機会を余計に奪うのではないかと心配がよぎる。

 

 仕事や会社の人間関係には一つも不満もない、大好きな親友もいる。

 幸せだ。幸せなのに、こう思うことがある。


 何処で間違った、と。








──────

すごいジャンル詐欺な気がしますが、喪女子からみた彩友里を中心とした恋愛話しってことで、なにとぞ! なにとぞ!


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ちょっと私の黒歴史を聞いてくれ 日暮 千疾 @koguretihaya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ