中学からつづく、地続きの恋物語

この物語の主要な人物は3人。
主人公、幼馴染の理奈、そして高嶺の花こと藍田奏。

物語は、高校に入学したての時間軸から進んでいく。
そこで、中学が別だった理奈・奏と再会し、物語の歯車が動き出す。

緻密なバスケ描写とともに、三人の複雑な思いが徐々に明かされていく。
そこには、各々の背景があり、人生がある。それぞれが歩んできた道の中で、主人公がいて、理奈がいて、奏がいる。常に曇天に覆われたような雰囲気と、青春らしい溌溂さのなか、絡まりつづける思いが確かな筆力によって鮮明に浮き上がってくる。

一人一人が人間です。小説の中のハリボテなんかじゃない。
リアリティという傘の下、それぞれの背景を負う人間たちが紡いでいく物語に、心の底から感銘を受けました。
情景描写が非常に巧みで、これでもかというくらいに骨抜きにされました。過去エピソードの描写が特にすごい。

読まないのはもったいない。素晴らしい作品です。