表裏一体

@ikanaru16

 相対性

 アインシュタイン博士の相対性理論を知っているだろうか。いや、知らなくても何ら問題は無い。私はこの場で小難しい物理について語るつもりはない。しかし、相対性の意味くらいは知っているのが常識だろう。

 相対性というのは、他からの何らかの影響によって成り立つという性質のことである。


 私が言いたいのは、言語というものは相対性をもつ、ということである。持って回った言い方をしたが、要するに私が言いたいのは、言語を組み立てている全ての単語は他の単語や話すヒトの感覚との表裏一体のバランスを保ったまま、成り立っているということだ。


 例を挙げてみよう。自動車という言葉がある。当然ながら、これは自転車とは異なる存在である。動と転の違いである。たかだかそれだけの違いに大きな違いが生まれている。自動車だけでなく、すべての言葉は他の言葉とのある程度の関係をもって、存在する。たった一つ、なんの関係性も持たぬ言葉など言語においては、ありえないことなのである。


 もう一つ、今度はヒトの感覚とのバランスについて例示しよう。私がこのお肉、高いんですよ。と言ったと仮定しよう。貴方は具体的な肉の値段を察することはできない。なぜなら、貴方と私の「高い」の感覚は異なり、そして厄介なことに、その感覚は、時や場合、感情などの様々な事象に影響されてしまうから。


 二つは、微妙に異なるモノと表裏一体の関係にあるが、本質は相対性という一つに集約されている。このような事象の事を、最早、「言葉における相対性理論」と言っても過言ではないだろう。

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