第49話 嗚呼、愛しのトマトよ
「最期の晩餐は何がいい?」と尋ねられたら、私は「トマト」と即答する。ドレッシングも何もいらない、ただトマトがあればそれでいい。
いや、もう少し贅沢を言うのなら、色んな種類のトマトを食べたい。赤色も黄色もオレンジや紫や緑も、おなかいっぱいになるまで食べたい。
私は、物心ついた時からトマトが好きだった。きっかけが何であったかはもう分からない。
ともかく私は、二十年以上トマトを愛し続けてきた。倦怠期らしきものは一切ない。
大学生の頃、バイト生活をしていた時でも、スーパーでトマトビュッフェをしていた時に、思わず衝動買いをしてしまった。ちなみに、トマトビュッフェというのは、カップにいっぱい入れるくらいのさまざまな種類のミニトマトを詰め込めるというものである。
他にも、レストランで料理を注文するときは、トマトが入っているかどうかを選ぶポイントになっていて、バイキングのサラダバーではトマトを取りすぎてしまう。でかいトマトが入っているからと、マクドナルドよりもモスバーガー派で、居酒屋に行ったら注文するのはトマトジュースだ。
トマトの何が好きなのか。一番はもちろん味である。酸味のある甘さ、歯を立てる感じる皮の感触、柔らかな身と内側の粒々とした種の噛み応え……思い起こしただけでうっとりとしてしまう。
しかし、好きなのは味だけではなく、トマトの色とその形も好きだ。一昔前にあったリアルなトマトのガチャガチャを私は回しまくって、シークレットも引き当てた。現在、鍵の束やUSBメモリーにそれらを付けて、目を楽しませている。
他にも、トマトのグッズを欲しいと挑戦したことがある。星のカービィの一番くじで、マキシムトマトのマグカップが欲しかったが、残念ながら当たらなかった。
それから、朝ご飯の食品サンプルのガチャガチャの中に、ミニトマトが一つだけあったので、それが出るまで回し続けたことがある。そのせいでガチャガチャの中が殆ど無くなってしまった。
トマトモチーフのキャラクターを可愛がる傾向もある。どうぶつの森ポケットキャンプをプレイしているのだが、その中に出てくる「ケチャップ」というあひるの女の子がトマトみたいな頭をしているので、いつも手元にいるようにしている。
ただ、全てのトマト関連作品とグッズを見たり手にしたりしているわけではない。私の目標は、『アタック・オブ・ザ・キラートマト』を見ること、生涯の夢の一つはスペインのトマティーナに参加することである。
このように、トマトについて語ると熱くなる私だが、どうしても克服できないトマトの加工品がある。それはドライトマトである。おいしいものもあるかもしれないが、私が食べたことのあるものはトマトの良さが全くなくて、ぐにょぐにょした塊を噛んでいるみたいで挫折した。
それから、レッドアイは飲めなかった。元々お酒が好きではなくて、ビールも苦手だったから難しかった。
それから、トマトを育てようとしたことが三回あるけれど、全部だめだった。
種から育てたものは、雨で水没してしまい、苗を買ってみても、日当たりが悪さと元来のものぐさのせいで、枯れてしまった。トマトヘブンを夢見ているのだが、そもそも植物を育てること自体が向いていないのかもしれない。
さて、こんなトマト好きな私は、とうとうトマトに関する短編を書いて発表した。トマト好きの、トマト好きのための、トマトが嫌いな青年が中心人物の作品、その名も『幻のトマトを求めて』である。
→https://kakuyomu.jp/works/1177354054881796766/episodes/1177354054919059666
書きながら、トマトについて色々調べて、とても楽しかった。あまりに愛を込めすぎて、短編集である『日常キリトリ線』の中で一番の文字数を誇る作品になってしまったくらいである。一読いただければ幸いです。
この場でも、永遠とトマトの愛を語ってしまいそうなので、今回はこの辺で。
デルモンテのリコピンリッチを飲みながら。かしこ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます