冬
目が覚めた。
ゆっくりと身体を起こす。
ああ、京也が返事を返してくれなかったのも、見向きもしなかったのも怒ってたんじゃなくて私の事が見えてないんだ。
さっきまで見ていた走馬灯のような夢で全てを思い出した。
私、死んじゃったの?
そう、なのだろうか。
あれはたぶんトラックだった。
何となく見たくなかったローテーブルの上の新聞に目をやる。
≪○△区、夜の悲劇 待ち合わせスポットを居眠りトラックが襲う≫
私が待ち合わせしていた場所。日付も一緒だ。夢として片付けてしまいたかった現実をまざまざと叩きつけられる。
『京也…』
触れようと手を伸ばすが通り抜けてしまう。
「…さく、らっ」
さっきまでまるで気づいてなかったが京也は泣いているんだ。私の名前を、ずっと呼びながら。
『ごめんね』
今の私にはあなたに名前も呼べないの。
触ることすら、できないの。
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