第5話

あれから5年。

ばかみたいでごめん。


封印はそんな韻を心の中で踏んでみた。

よくありそうな韻だ。深々と冷える夜道一。良くなかった。ありきたりな韻とは裏腹に気持ちはまるで濁りを増す。白い雪にバランスがいいほどよどんだ思い。そんな気がする一本坂。

ミシミシとゆう音だけが今ここで生きて存在していた。

あれから。あの日から5年たった。

僕はあの日、電波ジャックの話を皆にお披露目し校庭で円を描いた。風景。笑いあった風景。あの日、僕たちは噴水の前に集合できなかった。あれから5年もたったのに一度も。

高校を卒業して、専門学校を経てなんとか近くの町工場の整備士の見習いになった。未だに封印はぐらつく土台の上に居た。どうせ不安だらけの毎日なら、一歩一歩踏みしめる足だけが確かだった。それを雪の上に見立てて歩くものだから、余計に雪音を自分の分身と思える。が怒った上司の顔を思い浮かべて、寒さが身に沁みて家までとぼとぼ歩く帰り道につながったわけさ 話はまぁ、話すと長くなるんだけど。つながるんだ いきなりページを三冊ぐらいかっ飛ばせばつながるんだ いや、勇者の道はこの道と並行して静かにいまだ、あの日から静かに眠ったままでいる。のかもしれない。けれども封印は今この雪道を歩いている。1センチしか積もってない雪も溶けかけてきていて、もう実のところ、ほとんど水を弾くぴちゃぴちゃっとゆう音に変わってきている。濡れた靴が寒すぎて一刻も早く家に着きたかった。これは勇者の道であろうがなかろうが封印にとって逃れようのない目の前の道だった。

ぴっぴっぴっぴっ







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

青少年、オタクに騙される。 @tarbondes

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ