かつて勇者として魔王を倒し、世界を救ったエリザベート。
世界的な英雄となったわけですから、あとは悠々自適に暮らすのみ。なんてことになったらよかったのですが、彼女は名を変え正体を隠し、小さな島でひっそりと暮らしていました。
そうなったのも、戦いで苦しい思いをし、さらにその後、無常にも婚約破棄を言い渡され、心に傷を負ったから。
世界のために頑張った結果がこれとは、あんまりな仕打ち。もう十分すぎるほど頑張ったのですから、あとはせめて、このままこの地で平和に暮らせたら。
しかし、世界はそんなエリザベートを放ってはおきませんでした
集まる各国の要人。そして、倒したはずの魔王の復活。救ったはずの世界に、再び不穏な影が落ちてきます。
本作の魅力は、主人公エリザベートが既に一度世界を救い、とても強い力を持つ一方で、その心はあくまで一人の女の子のそれであるということ。
もちろん、並外れた勇敢さはあります。ですが辛いことがあれば当たり前に傷つきますし、恋をすれば戸惑い、ドキドキする。
戦いと共に彼女の恋も描かれるのですが、初めて知る感情にどうしていいかわからず、それでもその気持ちを大切にしようとする姿は、読んでいてとっても惹かれました。
勇者と言えど一人の人間。世界を救うのも大事ですが、彼女自身にも幸せになってほしいです。
再び世界の運命をかけた物語へと飛び込むことになったエリザベートに、どうか祝福を。
聖剣エクスカリバーを振るう、漆黒の勇者エリザベートとその仲間たちの物語。
主人公の勇者エリザベートがクールで凛々しく、魔王やその手先を相手に勇敢に戦う姿が格好いいです。
しかし、戦いでは頼りになるエリザベートですが、恋愛の方はあまり得意ではないのですよ。
仲間達と旅をするエリザベートですが、その中である人物のことを好きになり、その人もエリザベートの事を愛してくれる。
魔王と戦わなければならない過酷な運命を背負っていますけど、愛する人と過ごす時間はとても甘くて、読んでてキュンキュンしました。
エリザベート、初心すぎ。普段敵と戦う時は勇敢なのに、耳元で甘い言葉を囁かれると真っ赤になって動揺する。
このギャップが、すごく可愛かったです。
しかし勇者の名は伊達ではありません。
照れながらも自分が愛する人、自分を愛してくれる人を守るために戦う姿はやはり格好よく、バトルで熱さを、恋模様でほかほかした暖かさを得ることができました。
流行りの異世界転生ともチート無双とも違う、冒険恋愛ハイファンタジーです。