第三章 事業革命 編
異世界に技術革新を
魔王ベアトリーチェとの取引により、タダで宝玉を手に入れることが可能となった。
初めはスマホの充電などの用途に使用していた夜一だったが、毎月新たな高純度の魔力を宿した宝玉を貰い受ける。
充電という用途だけではどうにも宝の持ち腐れ感が否めない。実際にそうなのだろう。
そこで夜一は、以前魔力でテレビが動いたことに着目した。
異世界で家電製品を作る。文明の利器は間違いなく売れる。
しかし、一つ問題があった。それは夜一に知識が無いことだ。
現代日本ではただの学生。そんな夜一に専門外の家電機器の知識などあるはずもない。
どうしたものか、と思案していると「魔法師の方にお聞きしてみては?」とセルシア。
「魔法師ですか?」
「ええ、あのテレビというモノは魔力で動くモノでしょう? でしたら私たちよりも魔法師の方々の方が詳しいことがお解かりになるのでは?」
はたしてそうだろうか? 夜一は首を傾げる。
電子機器はこの世界の人間にとって未知の領域である。それでも夜一よりは幾分マシかもしれない。
そこで、夜一は世界最高峰――王立学院に研究・開発を依頼することにした。
…………
……
…
結果から言えば、まったくダメだった。
現代日本の技術は、異世界では再現不可能ということだ。
王立学院には幾つかのクラス、コースがある。
騎士を育成するクラス。
魔法師を育成するクラス。
官僚候補を育成するクラス。
……etc.
今回依頼を出したのは魔法師育成クラスである。
しかしこの世界――王都で用いられる(重要視される)魔法は戦闘用の攻撃魔法。もしくは支援魔法や回復魔法と言ったモノである。
生産魔法などの需要はないに等しい。
それ故に技術者と呼べる人間は皆無。
魔法師は戦闘要員という認識がなされている。
魔法師以外に電子機器の構造を理解し応用できる人間はいるのだろうか。見当がつかない。
頭を悩ます夜一。
この夜一の悩みが解決されるのは、もうしばらく先の――そう遠くない未来の話……。
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