第8話 新たな秘策
「......」
もう何度目だろうこの天井を見るのは。
「あいつらクソじゃん勇者殺すなんて!」
カウボーイ娘がご立腹の様だ。
落ちつきなさいとロシア娘が諌めるが天罰いっちゃう?天罰?と銃をホルスターから抜き暴れている。
「でもどうしよう。また1日持たなかったよ~...」
落ち込んでいる少女
聞いてみるとどうやらお試し期間と言うか補償期間の様なものがあって1日。つまり24時間は転生先で生存させる義務があるらしい。
「やはりあなた達はまだまだのようね!一番年長の私に任せると良いわ!」
フフンと言い腕を組んでモデルの様に歩いてくるロシア娘が僕の前に来るとニコっと笑ってこう言う。
「私のオススメに転生させてあげる。あなたの新たな命に幸運が訪れます様に」
そう言ってパチンと指を鳴らした。
えぇ...いきなりかよ...
僕まだ何も言ってない。というか一言も喋ってないぞ!
目を開けると転生していた。
目線が低い?いや草木が異常にデカイ?
なにこれ?
辺りを見渡すと湖がすぐ側にある。
「行ってみるか。」
今気づいたが羽が生えていて飛んでいる様だ
音もなくスイーっと飛んで湖にたどり着く。
水面に写っているこの姿は──
「なんだこれ妖精か?」
鮮やかな青い蝶の羽が生えた小さい人間
つるぺたというか性器も何もないフィギュアの様な体だが胸が膨らんでおり多分女性...いやメスと言えばいいのか
水面を覗いていると黒い影
バクンと大きな口。
この湖の主であろう巨大魚に飲み込まれた───
「...」「...」「...」「...」
白い天井も見慣れたものだ
神様3人は一言も喋らない。
ロシア娘はダラダラと汗を流して顔面蒼白である。
ちなみに何分でしたか?と聞くと戦乙女さんが一分です。と言う。
カッコつけてたのに記録更新じゃん...
「あの~...転生やめて生存ルートって今から無理ですか?」
目線を反らすロシアカウボーイ両名。
実は...と凄く言いずらそうに少女が言う。
なんでも転生する度に数年の時が過ぎているらしい
つまり今生き返れたとしても数年間前に隕石衝突で亡くなった
僕、佐々木康介が突然よみがえると言う奇跡が起こりひじょーーーーにまずいらしい。
詰んでるじゃんオワタ、絶望していると戦乙女さんが言った。
「それでしたらあちらに転生させずここに転生させ武器や装備を整えては?」
「「「それだ!!!」」」と3人娘が声を揃えてバンザイしピョンピョン跳び跳ね喜んだ。
こちら、とはこの空間の事。
つまりこの白い部屋に転生しスキルや武器、魔法の使い方を習得し新たな体に慣れさせた上で“あちら„つまり死にまくった異世界に送り出す作戦らしい。
確かにそれならいきなり放り出され右往左往したり戦いの中で自分のスペックやスキルを試すといった危険な行為は行わなくて良いのだ。
ちなみに今は3人娘はこの部屋に居ない。
上司的な存在に許可を貰うため出ていったのだ。
僕は戦乙女さんと優雅にティータイム。
戦乙女さんが言う。実はこの紅茶を飲んだのは神様以外ではあなたが初めてなのですよ?と自分自身も死者とこんなに話したのは初めてとの事である。
アレ?なんか良い雰囲気なのでは?
そんな時にガチャ!と扉が開く
最初に聞こえたのは「はぁ...」というため息の音。
3人娘が戻ってきた様だが顔色が悪い表情も暗い。
駄目だったのだろうか?
「こんなに怒られたのはじめて...」
そうロシア娘が漏らす
どうやら上司からの雷が落ちたようだ。
「メッチャ怒られたけど今回は何度も失敗してるし死因が隕石衝突なんて珍しさだから特例だってさ」
カウボーイ娘が笑いながらいった。
「あなたが剣を持っていかせろ!なんて言うから話がややこしくなったんだよ!」
少女が頬を膨らませて怒っている。
カウボーイ娘にどんな剣だったのか聞くと一振りするだけで見える範囲が消滅する神剣だ!とドヤ顔で腰に手を当て胸を張っている。
「...」
僕は何も言わなかった。
言えば怒りそうだし僕を思っての事である...多分。うん。
「さぁ!今度こそあなたの新たな人生が素晴らしきものになるように頑張りましょう!」
そう神様たる少女が言ってくれた───
今度こそ召喚師でがんばる! 白虎猫丸 @sabatarasan
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