第10話 共有と決断
それから数日、俺と寧々は情報を共有しつつ彩についての話を聞いて回ったが、目新しい情報は手に入らなかった。
「やっぱり大した情報は無いね」
俺が不意に呟くと寧々が「はい、そうですね」と返答した。やはり、親友よりも情報を持った同級生はいないようだ。
「やっぱりあそこに行きましょうか」
「あそこ?」
寧々の言葉に俺が反応すると、寧々はコクリと頷いて、少し言い辛そうに言った。
「彩の家です。少し避けていた所があったのですけど、優斗くんが居れば勇気が出そうなので」
篠倉さんの家。それは犯人を捜すには一番ヒントがある可能性のある場所だ。だが同時に、篠倉さんとの思い出が詰まった場所でもある為、行き辛いというのもあるだろう。それに篠倉さんの家族の事も気になる。家族が死んでしまっては、さぞ傷付いているだろう。そこに行って話を聞くのは、とても勇気のいる行為だ。それでも行こうというのだ、俺は寧々に続きを促す。
「いつ行く?」
俺の質問に、寧々は「そうですねぇ……」と少し考えつつ返答した。
「明日、にしましょうか。丁度土曜日で休日ですし。予定があったりはしませんか?」
「大丈夫だよ、了解」
俺の言葉に少し安心したような表情を見せた寧々は、先ほどと変わり落ち着いた声で言う。
「では明日の午後二時、駅東口の案内板付近で待ち合わせしましょう」
「分かった」
そうして、明日、篠倉さんの家に向かう事になった。
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