第9話 真面目な話

 その後二人とも心を落ち着かせ、ゆったりと昼食を食べた。そして残りの時間今ある情報について話し合った。結果はおおやけにされている情報に毛が生えたような内容だった。ネットなどで流れている情報に親友の観点で考察するぐらいしか出来ていないらしい。だが、それも仕方なく、寧々は少し前まで病んでいて、復帰して友人に話を聞いても、心の心配をされ、あまり相手にしてもらえなかったらしい。それならと言う事で、俺が友人に話を聞くことにした。

「健吾、ちょっと良いか?」

「なんだ、優斗、リンチには合わなかったようだな」

 俺が廊下を歩いていた健吾に話しかけると、健吾はすぐに苦い顔をし、そう言った。

「茶化さないでくれ、ちょっと真面目な話なんだ」

 俺の言葉に、健吾は一瞬で表情を変え、真面目な顔で「どうした?」と聞いてきた。

「篠倉彩について、何か知らないか?」

 俺がそう聞くと、健吾は一瞬目を見開いたが、すぐに表情を戻して返答した。

「どうだろうな。他の奴らと変わらないかもしれないが、良いか?」

「あぁ、構わない」

 健吾の言葉に俺が頷くと、健吾は少し重い口を開いた。

「去年、例の中庭で死んでしまった人。寧々さんと大の親友同士で、女友達も多かった。去年は確か生物委員だったはずだ。っと、これくらいか。女子の方が知っている事が多いかもな。普通の男子生徒が知ってる情報はこの程度だと思うぞ」

「あぁ、助かったよ。ありがとう」

 俺は健吾に頭を下げると、健吾は俺をいたわるように言った。

「優斗が何で急にこの話をしてきたかは分からないが、あまり大げさに掘り返すものじゃないぞ。中にはその時に傷を負っている人もいるだろうからな」

「うん、忠告ありがとう」

 俺はそう言って健吾と別れた。その後俺は、比較的仲の良い同級生数名に話を聞いたが健吾以上の情報は得られなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る