第21話 病院にお別れ

 最後にプリペイドカードの裏技を紹介したのは、このパソコン記録を読んでいる同じく病院の入院患者の方たちに向けてである。この入院日記に関しては、著作権を放棄した。誰でも自由に印刷し、読んでもいいと。他の人にも読んでいただき、入院生活の参考にして欲しかった。

(ただし剽窃だけは認めない。以前に僕の小説を盗作してカクヨムに投稿した最低の奴がいたからである)


 退院前に、自分の小説『アイの物語』と『詩羽のいる街』をデイルームに置いてきた。これならSF的に難しいわけじゃなく、誰でも読める。それに鬱に陥ることもないし、希望が持てる結末である。きっと読んでくれる人がいると思う。

 僕は世話になったこの病院の人たちにお礼がしたかった。お医者さん、看護師さん、療法士さんたち。そして患者の人たちにも希望を与えたかった。希望のある物語を読むことで、苦しい闘病生活が少しでも楽になって欲しいと願った。


 そうそう、療法士のみなさんについては、退院後、彼らの生き方を小説化したものを必ず書くと約束した。「詩音が来た日」のようなSF仕立てで、感動的な話にしようと思っている。タイトルはすでに考えてある。「サイレント・テレパス」である。


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9月1日 最後の入浴。リハビリの最高の仕上げの意味をこめて、いつもより入念に体を洗う。もちろん、両足で立ち、両手を使って

 終了後、ナースの方に「大変にお世話になりました」と丁重に礼を言う。


9月3日 サンボくんが本を取りに来る。全部は読みきれなかったけど、助かったよ。

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