結婚
「仕事なんてやめてやる!」
「なに言ってんだよ。花さん、今度兄貴も海行きたいって」
「かしこまりました」
「今度二人で行きなよ」
「えっ、う、海に?な、なんだよ…お前…絶対手出すなよ!」
「どうしよっかなー」
「マジ許さねぇ」
「心配すんなよ。またな」
コンビニで休憩して、飲み物を買う。
リツは助手席に乗り込んだ。
花の胸元にシートベルトが食い込んでいる。
ふんわりとしたスカートも、シートベルトで
押さえられ、腰回りがタイトになっている。
「ワンオクのどの曲が好き?」
「changeとか…」
「いいよねー!俺も好き」
bluetoothでスマホをステレオに繋ぐ。
「ねぇ、火曜日の帰り道に一緒にいた人、誰?」
「帰り道?…あー、ケイさんだ!ホワイトリリーのスタッフですよ」
「そうなんだ。あんなかっこイイ人いるんだね」
「リリーさんのパートナーですよ」
「マジ!?」
車は海岸沿いの道を軽快に走る。
「わー!海見えてきた!」
「窓開けますね」
「はーきもちーい!」
「そういえば、昼間のデートなんて何年ぶりだろ?オレもある意味こじらせてんなー」
「きれいな海…」
「非日常だね」
駐車場に車を止めて砂浜に出る二人。
浜辺はサーファーや犬の散歩など、まばらではあるが人影はあった。
シートを敷いて、ランチを広げる。
「俺のおすすめカフェのサンド」
「わぁ、おしゃれ!おいしそうですね」
二人で頬張る。
「んーおいしい!」
「このカフェのレモネードもおいしくて、サンドと一緒に飲むとサイコーなんだよね」
「おいしそう!」
「今度行こう」
嬉しそうにうなずく花。
食事を終えて、ひざまくらで寛ぐ。
「花さん、旦那さんは怒らないの?」
「ドライブのことは言ってません」
「ひざまくらのことは?」
「もちろん言ってません」
「わるいひとだなー」
「お仕事ですから」お互いにふふと笑う。
「結婚ってどんな感じ?」
「幸せですよ。独身のときより」
「そうなんだ。やっぱおすすめ?」
「うーん、人によりますね…何を幸せだと感じるかによると思います」
「なるほどー、深いなぁ」
「結婚、考えてるんですか?」
「全然。考えられないから悩んでる」
「必ずしなくてもいいと思いますよ」
「だけど、それでいいのかな?兄貴もムリそうだし、親父に孫の顔、見せてやれないのかなーとかね」
「親は子供が幸せなら、それでいいんです」
「さすが。説得力あるなぁ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます