ネギについて語ろう
隅田 天美
ネギについて語ろう
葱。
『ねぎ』と読む。
ヒガンバナ科の植物。
ウィペディアによると、原作国は中国西部・中央アジアらしい。
玉葱も、ほぼ同じ。
さて、私はここでは『隅田天美』と名乗っているが、現実の私を知っている人はご存じだろうが、実名は違う。
フルネームを出す勇気はないが、苗字だけなら大丈夫だろう。
「根岸」というのが本当の苗字だ。
(なお、隅田天美は私の父が『すあま』が好きで、それを伸ばして「『す』みだ『あま』み」【隅田天美】にした)
全国では四百二位の苗字だが、私の近所では過去最大で三件の『根岸』があった。(現在は一軒引っ越しされて二軒になっている)
まあ、「佐藤」さんもそうだろうが、「根岸」という苗字も子供の心的には嫌なものがある。
『ねぎ類大好き』という文字通り根も葉もない思い込みで調理実習や宴会などで「ねぎ、多く入れておいたから」と大量にねぎをもらうことがある。
この分、佐藤さんなどは『砂糖』なのだから羨ましい。
弟は部活の関係で丸坊主で中学生時代を送っていたが、口の悪い先生などから「ねぎ坊主」などと呼ばれていた。
ここではっきり書いておくが、根岸は「ね・ぎし」であり、「ねぎ・し」ではない。
ちなみに、ちょっとした雑学を一つ出せば、「根岸色」という色があるのをご存じだろうか?
謂れは諸説紛々あるが、今でも東京都台東区には『根岸』という場所がある。
元々は茶室などに使う上質な土壁を採掘する場所だったが、江戸時代に江戸近郊の別荘(今でいう軽井沢?)が立ち並ぶ高級住宅街になったそうだ。
根岸色とは、この土壁の色だ。(なお、キャッチコピーの色は根岸色に近いものを選びました)
なお、他に日本で人名(苗字)を含む色は私の知っている限り「團十郎茶」しかない。
(団十郎茶とは、江戸時代の人気歌舞伎俳優・市川團十郎が着ていた衣装の色)
(余談の余談。これらの色は寛政の改革などの緊縮政策が出たときに煌びやかでなくてもカッコいいものを求めた江戸の人たちが生み出した『粋』誕生の色だと私は思っております。個人的な考えですが)
本題。
食べるほうの「葱」の話をしよう。
私はある一定条件であれば長葱も玉ねぎも大好きである。
その条件は「火を通してあること」
大根とは違い、大人になっても生の長葱も玉ねぎも苦手である。
ざる蕎麦などを頼むと薬味で長葱が出ると「うーーーん・・・・・・」と悩む。(入れなきゃいい話なんですけどね。最近は大分平気になりましたが)
ラーメン屋でラーメンを頼むと、真っ先にやるのは麺で葱を沈ませ煮る。
生の玉ねぎを食べさせる「オニオンスライス」などと言ったら、本当に困る。
理由を考えた。
で、思いついたのが、地理的条件である。
何を言っているかさっぱりわからないだろうが、順を追って説明する。
私の住む群馬県には「下仁田葱」という名産品がある。
地元民でも高級な葱でご贈答用にも使われている。
ネットなどで検索すればすぐに出るが、形としては一般的な葱(深谷葱)を太しくして緑二に対して白一の割合の葱だ。
この葱、熱を加えると非常に甘くなって美味い。
特になべ物に最適で(だからご贈答用には肉やこんにゃくもセットになる)私個人としてはみんなが鍋をつついているときの葱より、皆が酒をチロチロ飲み始めたころ、肉のうまみなどを吸い込んだやる気のかけらも感じさせない状態になったトロトロの下仁田葱を素面の私が(下戸なので)独り占めするのが一番好き。
が、この下仁田葱。
生ではほとんど辛味だけ。
しかも、中がねばねばしている。
たぶん、子供のころに一人で台所に立った時(親が共働き家庭だったので否応なしに料理はさせられたし、作っていた)に下仁田葱に十二分に火を通さず食べて嫌いになったのかもしれない。
玉ねぎは生はだめだが火が通れば好きだ。
最後に母から教わった葱みその作り方を書いて一回筆を下ろそう。
1・玉ねぎの外皮などを取り、包丁で上の芽と下の根を取る。
2・1を二つに切り薄い半月切りにする。
3・フライパンに油大匙一を入れて中火で温め2を入れる。
4・しんなりしたら砂糖、醤油、味噌を入れ味をお好みで調える。
5・4をお皿に盛り完成。
ご飯のお供にどうぞ。
ネギについて語ろう 隅田 天美 @sumida-amami
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