職業:魔物使いだけど本体で倒す!

@halumaki

第1話

 魔物使い。それは決して相容れないとされた人と魔物という互いに生殺与奪の関係である存在の仲を取り持ち、共存し共闘すると言った信頼関係を築き上げる事が出来る多職とは違うスタイルで生きる特殊な職業。就業するにはステータスの伸び代が関わるパーソナリティとは別に魔物使いとして必須となるタレント性が求められ就業までの修業だけでなく産まれながらにしての才能が必要な希少職の一つ。故に教育機関による履修過程を終え一人前となった魔物使いは多方面から求人され将来の安寧が約束された所謂エリートコースの一つである。実際、力仕事や高所作業、討伐任務や兵役など肉体的な労働は勿論、高い知能を有した魔物を使役させた場合頭脳労働方面においても人間が一人働く以上の成果を見込める上、複数体使役出来る様な上位の魔物使いならば更に結果を残しやすい。正に夢の職業とまで言われる程の優遇職である。

 だがしかし何もかもいい事尽くめであるとは限らない。まず一つとして努力では補えないタレント性が必須という点でそもそも魔物使いになる事が出来る人材が少ない。なる為に必要なタレント【寵愛】が発現する確率は肉親に魔物使いがいた場合で凡そ10万分の1。居ない場合ではその確率は更に落ちるという。そしてこの【寵愛】にはデメリットがあり、成長と共に強化されるステータスの伸び代を決めるパーソナリティが修練によって上昇しない。その為、魔物使い以外の職に就いた場合その能力値は最弱。技能の習得が不可能な上他職からは『存在しない方がマシ』とまで言われる程の無能さを誇ると言われている。そして何より使役している魔物によって成功期待値が大きく変わる。それこそドラゴンや魔族、天使や神等神話級の存在を使役している場合は国を治める事が出来る程優遇されるが、スライムやウルフ、下級悪魔等左程能力の無い魔物をししている場合は現場仕事で多少役に立つ程度の、それこそ戦士等が退役して仕事している方がまともとまで言われてしまう事もある。そしてここ数十年産まれている魔物使いは残念な事に後者が多く最近では魔物使いを優遇する事に対し異議を唱える者まで現れている。それだけではなく、魔物が大型の場合は自身が寝泊まりする家以外に魔物専用の小屋が必要な事、彼らの食費がバカにならない事、種族によっては人種を襲う魔物がいる事、夜行性の場合夜うるさい、気が付いたら数を増やしている時がある、脱走、時折言う事を聞かない、魔物使い自身が弱い為彼らが命を落とすとその瞬間使役している魔物が暴れ始め共闘している仲間達にも危害が加わる可能性がある、そもそも親人種族では無い魔物の場合誤射を偽った無差別攻撃を行う可能性がある……等割と問題だらけな点がある。

 しかしそれでもやはり希少職で更には他にはない共存の夢がある魔物使い。憧憬の眼差しは多く、18の誕生月を迎えたある少年も同じく憧れを胸に抱いて我が家を巣立つのであった。

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