第7話 エスメラルダの処刑

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 愛か。

 僕には。

「さあさ、ムダさん? まだまだお身体は本調子ではないのでしょう? 将来の伴侶であるわたくしがお口まで運んで差し上げますわ。はい、あーん。してくださいましな?」

「ちょっとズルイですよ、ご主人。それはまず俺が口移しで」

「オズ君。いつになったら私の皿に取り分けてくれるのか」

 単なる公開処刑でしかなく。

「そんなの勝手にご自分でどーぞ? てゆーかなんでちゃっかり紛れこんでるんすか? 国家権力を笠に着た犬に休日とかないんでとっととわんわん吠えてきてください」

 胡子栗えびすり課長が冷たくすればするほど。

「大王さま? なにをもたもたとされていますの? 何のためにあなたをここに列席させたのか。おわかりでないほど愚かなご身分ではありませんわ?」

 スーザちゃんがけしかければけしかけるほど。

 僕の寿命がじりじりと確実に削られて行くわけで。

「徒村君」本部長が僕にしか聞こえない方法で言う。ヒントは声以外。「しっかり覚えておくといい」

 何をですか?

 今回のクリスマス鍋パーティの食材一式の代金ですか?スポンサさま。

「夜までに片付ける」本部長が課長に言う。

「ああ、はいはい。部屋汚いですもんね。大掃除頑張ってくださいね」

 聞いちゃいねえ。聞いてあげてくださいって。

 ああ、怒ってる。もう確実に抹殺リストの筆頭に名前を刻まれてる。

 本部長退場。

「あーようやく羽が伸ばせる」課長がわざとらしく伸びをする。

「まあ、羽なんかありましたの?」スーザちゃんが僕の腕に密着してくる。「わたくしのムダさんにたかるハエも同然ですわ」

「ハエでもなんでもいいすよ。あのヘンタイがいなくなってくれればなんでも」課長がスーザちゃんのいない側の僕の腕に密着してくる。「ムダくんナニ食べたい?俺?」

 ヘンタイはどっちだよ。

「離れてくださいましな」スーザちゃんが僕越しに課長を睨みつける。「今日は何の日なのか復唱するとよろしくてよ。ボーくん、あなたわたくしの下僕でしょう? わたくしの言うことに絶対ではなくて?」

「いやあ、なんせ一週間もご無沙汰だったからムダくんがいろいろ限界だと思ってさ」課長が僕を盾にスーザちゃんをやり過ごす。「ど?何発くらいイけそ?」

 今日は恋人たちのための聖夜。

 だとスーザちゃんは言うし、新調したケータイも、電池を入れ替えて息を吹き返した僕のだいじな時計も。こぞってそうゆう日付なのだと主張して已まないが。

 10時37分。

 ついこの朝方まで病院のベッドで仰向けになってた穴空き(腹部的な意味で)の僕を遣いっ走らせて、開店と同時にスーパになだれ込ませて、色違い鍋を二種類作るための材料を買い出しに行かせて、挙句調理までさせられて。

 やれやれやっと座れたかと思えば、両側から店主と課長に挟まれて。交互に白いスープと赤いスープを口に放り込まれる始末。

「ねえ、クリスマスってそうゆう風習だっけ?」朝から鍋やりましょう的な。

「では伺いますけれど」スーザちゃんがいったん箸を置く。「クリスマスには必ずケーキを食べましょうという国際的な取り決めでもございますの? それに違反すると処刑されますの?」

「別にケーキが食べたいんじゃないよ」

 どうしてよりによって鍋なんだと。僕はそう言うことを聞きたいんだけど。

「わかった。俺はわかったよ、ムダくん」課長がものすごいドヤ顔で。「ごめん、全然気づかなかった。俺、上司として部下の健康状態を把握するのが先だったね。とゆうわけで、ご主人、イってきます」僕の手をつかんで立ち上がろうとするが。

「すいません、それもたいがい勘違いです」

「そうですわ。ムダさん?相変わらずむだむだと。今日こそはそこの奴隷にぴしっと言ってくださいましな。年内に式を挙げると」

「ごめん、それもたぶんない」

 なんでこの人たちそんなにテンション高いんだろう。

 僕がおかしいんだろうか。いまのところ2対1で僕がおかしいってことになってるんだけど。多数決の暴力により。

「もう、一体わたくしのどのあたりがご不満ですの?」スーザちゃんが女優さながらの眼力で言う。

「言ったほうがいい?」

「俺が言ってもいーよ」課長が赤いスープを一口啜り。「あーやっぱキムチだわ」

 空間が沈黙する。

 どうしてスーザちゃんでは駄目なのか。

 スーザちゃんは理解している。だからこそ明言してほしくない。

 言ってしまったら本当に、自分にはどう転んでも脈がないということをむざむざと見せつけられる。自分罰ゲームも甚だしい。

「い、言わなくて結構ですわ。前言撤回致します」

「ところでさあ、そもそもムダくんがあのよーかい露出狂のとこで人質になってたのって何が原因だったの? 賭けとかゆってたけどさ」

「忘れましたわ」スーザちゃんが白いスープを一口啜り。「ああ、やはり豆乳ですわね」

「誤魔化さなーい」課長が僕をターゲットに収める。「なんだったわけよ」

「大したことじゃないと思いますが」

 知らないのだ。僕は自分のあずかり知らぬところで勝手に賭けの賞品にされていただけなんだから。

 それにどちらかというと賭けという体裁を取っただけのことで、だいじなのは、僕の身柄が一週間ほど国立更生研究所預かりになることに対し、スーザちゃんは、異を唱えていた、ことを僕に見せつけたかったにすぎない。

 理由がいるのだ。なにごとにも。

 それだけのことじゃないんだろうか。

 よって、本当に賭けが行われていたのかどうか疑わしい。僕はそう思うんだけど。

「さ、どんどん食べて栄養付けてくださいましな? どうせあの無機質な監獄空間ではまともな食事など与えられていなかったのでしょう?」

 食事といえば。

 斎宮主任。

「あのさ、真犯人なんだけど」逮捕できたのか。

「連続ごーかん殺人犯は自殺したよ」課長がカンペでも読むように唱える。「それで終わり。なんもかもおしまーい」

 僕はスーザちゃんに尋ねたつもりだったのだが。

 スーザちゃんが用意したカンペを課長が棒読まされたにすぎない。

「世間的にはそうゆうことになってるんですね?」僕が聞きたいのはそうゆうことじゃない。本当のところを伏せておきたいのもわかる。「でも僕は関係者です。少なくとも僕はその連続殺人犯を冤罪かどうか見極めるために国立更生研究所の副所長研修を」

「真犯人なんか最初っからあの女に決まってるじゃん」またも課長が棒読まされる。「少なくとも俺はそのつもりで仕方なく君の身柄をそっち預かりにすることを了承したんだけど。あんなのセンセの茶番だっての。なんもかんも、7年前に終わってたわけ。わかんなかった?」

 なにか、隠している。

 隠さざるを得なくなっている。

 課長は独自に何かをつかんだ。

 それをいまここで披露したくない、できない理由は、

 スーザちゃん。

 しかいない。

「スーザちゃん、ちょっとお願いがあるんだけど」駄目元で。

「まあ、なんですの? ムダさんがわたくしに? どうぞ?なんなりと」

「正午から今日をまるっとあげるから、正午まで僕と課長の二人っきりにしてくんないかな?」

 絶対に反対運動を起こされると思ったが。

「まあ、大変。いかがわしい高級ホテルを手配してきますわ」スーザちゃんはいそいそと立ち上がり、対策課本部をあとにした。

 ごめんね。本日正午からの僕。

 年内に挙式もあながち嘘ではなくなるかもしれない。

「アレもう孕む気満々だね、ご主人」課長がドアを見つつ赤い色の液体を流し込む。「ふーう。あったまるねえ。俺たちもあったまる?」

「ホントのところを教えてください」今回の事件。

 7年前に収容した当時未成年の連続強姦殺人犯が冤罪かどうか。

「ムダくんが知りたいのはナニ? 真実?事実?」課長はのんきにキムチ鍋をつつく。「食べなよ。スポンサが太っ腹でよかったね。ほら、こんなに肉が」

「課長は今回のこれをすべて先生の自作自演と片付けますか?」

「まあまあ、一杯。食べながら聞いてよ」課長が僕の分を取り分けてくれる。この情景を本部長に見られたら僕のいろいろは今日限りなんだけど。

 すでに今日限りの命だというフラグを自ら立てた後での悪あがきだ。

 どうとでもなれ。

 どうとしかならないんだから。

 キムチ鍋は嫌いじゃない。が、

 この色が嫌だ。

 赤いような禍々しい煮え立ち。

 血にしては明るいのでその点は救われるが。

「言うの忘れてたんだけどさ、こないだの事件。5年前の尻拭いだけど、あんときの生き残りってゆったら身も蓋もないけど、俺らが苦労して家に返したガキ。その筆頭さ、塑堂そどう接骨院とこのガキ」

 豚肉。

「お家に帰ったその足、てよりは手だね。両親ぶっ殺していま、入院中」

 鶏肉。

「うまくいかないもんだよね」

「いまのいままで黙っていた理由を聞きます」

「優秀な部下にそんな眼で見られたくなかったから。それじゃ駄目?」

 ニンジン。

「先生が?」主治医は瀬勿関先生かどうか。

「本部長が信じてる他人はあの女だけだよ」

「課長は?」信じられてないのか。「そうゆうご関係でしょうに」

 ニラ。

「いまさらね。てゆうか最初っから保護者ぽいほうが主だったしさ。父親と寝たいとかほざく実の娘がいたらそれはびょーきだよ。治療対象だ」

「先生みたいなこと言うんですね」

「ごめん、娘じゃなかった」

 豆腐。

「なんで自分で拾うんですか。わざと無視したのに」

「あ、そうなの? じゃあ俺もスルーで」

「話戻りますか?」

「やだなあ、逸れてないよ。俺がいま喋ったのは事実。で、真実は」

「事実と真実の定義はいいです。僕が聞きたいのは、スーザちゃんが僕に黙ってる内容のうちで課長が知り得る部分です。隠してることを教えてください」

 モヤシ。

「ニンゲンに性欲なんかなければいいのにって思ったことない?」

「ご自分の変態的な事情の話でしょうか」

「あのね、ちょいちょい誤解してるっぽいから言っとくけど、俺は、少なくとも本部長やムダ君よりは真っ直ぐなせーへきだよ?」

「そう熱心にドヤられましても」

 白菜。

「君だけには言われたくないよ。知ってると思うけど俺、どっちかってーとネコなの。タチとかめんどーだからヤなの。わかる? 自他の区別がつかなくなるくらいくんずほぐれつして溺れてたいの。それをさ、君は」

「先生は被害者です」

「あの女庇いたいならいいよ? この一週間の密着取材で情が移った? それも全然構わないよ? だけどね、俺にそれを押しつけるのはどうかと思うわけ。何度でも言うよ。俺はあの女が世界二嫌いなの。世界一は祝多。女なんか信用ならないわけよ」

「嫌いなのもどうでもいいです。知ってることだけ話してください」

「それ飲んじゃって?」

 スープ。

「飲みましたよ」

「美味しかった?」

「なんか入れました?」毒物的な。

「俺らがやってることってそれ。まさにそれ。飲み干されておしまい。器の底見て?なんか残ってる? なーんも残ってないっしょ? どんだけムダなんだってゆうね。物悲しいよね」

「正午から有給申請しますんで。課長もどうぞ。県警のほうでしっぽり」

 課長が箸を置く。

「なんか今日すんごい距離があるよね? だいじょーぶ?俺分足りない?」

 俺分て。

 糖分じゃないんだから。

 なんでそんな必須栄養素みたいな感じでねじ込むんだ。

「祝多は生きてるよ」

「でしょうね」

「あ、知ってた感じ?」

 白々しい。

「信じてましたから」

「ねえ、絶対騙されてるよ?あの女の正体知ってる?」

「悪の巣窟ですね」

「ね?おかしくない? 悪の総大将を頼ってる正義の総大将なんか聞いてあきれる」

 スーザちゃんの放置した豆乳鍋を見遣る。

 白い。

 真っ白だ。

「二件目てゆうか7年後の模倣犯なんだけどさ」課長が言う。「いっそセンセの下で働けばいーと思うよ?治療も兼ねて」

 逸樹菜遇いつきナアイ

 課長に資料を見せてもらった。原本もコピィも本部長が回収して行ったが。

 7年前の登呂築無人とまったく同じ手口で、

 片方を拘束したその眼の前で。

 もう片方をレイプし殺した。実験のため。サンプルを集めるため。

 自首していまは、本部長の眼の届く範囲にいる。

 彼のいた大学院は、瀬勿関先生が以前勤めていた。

 同じく、不破繁栄も。

 斎宮サイグウも緑野マリアもその大学に在籍していた。

「彼が斎宮イツキ主任のモデルじゃないんですか?」

 斎宮イツキは存在しない偽名。

 斎宮サイグウは死んだことになっている。

「どゆことよ?」課長が食いつく。「はーん、なるほど。俺のパクリじゃん」

 菜遇は、サイグウとも読める。

 いつき・サイグウ。

 さいぐう・イツキ。

「なんだか混乱してきました」

 どっちが生きててどっちが死んでるのか。

「その主任自体が幽霊だったってオチとか? 逸樹菜遇の生霊とかさ。あの非人道な研究をやりたくってその強すぎる欲望的なアレがひゅーどろどろで」

 あながち間違いじゃないかもしれない。

 僕は幽霊も生霊もお眼にかかったことはないが。

 彼は、不破繁栄の生前の悪友だ。

 愛する人を眼の前で寝取られて正気でいられないのは男か女のどちらか。性差を調べようとしたところがそもそも誤っている。仮説の段階から不備がある。

 そんな下らない実験を思いついた逸樹菜遇の脳のほうが治療のし甲斐がある。

 瀬勿関先生は、それも含めて泳がせていたのか。この7年。

 彼が院生になるまで待っていたと?

 いや、考えすぎのような気もしなくでもないが。

 どこまでもそこまでも、

 先生の手の平の上で踊っていたような気がして。背筋がぞくりと。

「じゃあ、あの主任は誰なんでしょう?」

 斎宮の斎の字に僕はすごく、

 悪寒のような異物感を覚える。

 スーザちゃんの名字は、

 斎市ものまちという。

 スパイか?

 国立更生研究中には二重にカメラと盗聴器が仕掛けられていたということか。スーザちゃん直通の。だとすれば、スーザちゃんからのあの電話は。

 躊躇いなくつないでくれたのも頷ける。

 なんだ、そうゆうことか。

 主任はこっち側だった。味方とは言い難いが。

「ほーらね、最初っから俺はゆってたわけ。犯人はあのよーかい露出狂ただひとり」

「さすが課長」お見逸れしました。

 先生も先生だ。そうなのだ、最初から先生は。

 模倣犯だと言っていた。

 僕が研究所に呼ばれたその任務だって、

 緑野リョクヤ外科部長。

 斎宮サイグウ設備管理主任。

 助手の梧桐ゴトー看護師。奴らが、

 今回の模倣犯に一切関わっていないことを証明してほしい。

 関わっていませんでしたよ。誰ひとり。でもそんなこと、

 僕なんか呼ばなくたってわかっていたのではないでしょうか。

 先生は僕に、

 何をしてほしかったんでしょうか。

 僕は先生の、

 お役に立てましたでしょうか。

「さーてお腹もいっぱいになったことだし、ムダくん」課長が僕の手をその短すぎるスカートの中に引きずり込む。「正午まで存分に俺分を補給してくといーよ。ムダくんのナカは俺がいっぱいにしたげる」

 11時22分。

 単純計算で何回できるか数えている僕がいる。

 スーザちゃんが邪魔しに来なければ、だけど。なるほどそうか。

 正午までに空っぽにすればいいんだ。

「毎回思うけどさ」課長が下着を下ろしながら言う。自分の。「どこかの本部長のことは言えないと思うよ?どーだろ、いまんとこ俺じゃないとイけないムダくん」

 反論するつもりはないが。

 本部長と一緒にされたくない。あっちは犯罪だ。

 自分の娘くらい離れた年代の少女にアレやコレやするわけなんだから。いまでこそ30代を越えたが。当初の課長がいったい何歳だったのかと。

 そこに決定的な隔たりがある。

 その点僕はまだ個人的なシュミの範囲内で収まっていると思う。

 僕は女に興味はない。ただの女には。

 どこぞの女装シュミな課長のように、

 見た目がだいじなのであって。

 中身は僕とおんなじほうがいい。

 だからごめん、スーザちゃん。

 君には決定的に足りないものがあるんだ。

 課長にもあって僕にもあるもの。

 僕がスーザちゃんじゃダメな理由。

 祝多さんこと、

 タ=イオワンにどうしようもなく惹かれていた理由。

 根っこはおんなじ。



      7荒れて女男は

   イリガル凍れて男女はノエル

 


 この檻の向こうには、

 更生不可能な性犯罪者が収容されている。

 彼は僕の気配に気づいたが、

 自分が期待していた人物ではないとわかったらしく無視。

「ごめんね、瀬勿関先生じゃなくて」

 彼はそれを嫌味だと取ったようだった。

 伝わってくる。殺意。

「君に会いたかった」

 名前を呼びたかったけど、きっとその名前は。

 呼んではいけない。

 彼がここに入ったその日から、

 その名称は剥奪されている。

 この檻に入った性犯罪者には画一的に、

 登呂築というラベルを貼られる。

「僕を憶えてる?」

 彼は反応しない。

 それでいい。僕のことなんか、

 忘れてくれていい。

「会いたかったよ」

 後ろから二種類の足音が近づいてきたのが聞こえて。

 僕は檻の中に手を入れるのを諦める。

「食いちぎられますわよ?」高いヒールの少女が言う。

 髪のぼさぼさな青年が、長い前髪の合間から僕を検分する。

「彼が?」新しいスタッフだ。

 所長が今朝のミーティングで話していた。

 7年後の模倣犯。

 スカウトという体裁をとってはいるがほとんど、

 永久収容という名の実験材料。

「研究が続けられるんですか?」

 なまじ音声再生ソフトのほうが人間的だ。感情が(例えそれが人工的にプログラムされたものであっても)こもっているという意味で。

 その若い研究者は、ニンゲンから離れてだいぶ久しい。

 そうゆう身なりでそうゆう声色で。

「ええ」少女が頷く。「そちらの先輩に付き従えるのであれば」

「あんた何?」若者は僕にどれだけの価値があるのか、それを問いたいようだった。

「少なくとも君よりは勝手がわかっているつもりだけど」

 所長の機嫌の良し悪しとか。

 ここに収容っている性犯罪者の事情だとか。

「じゃあその先輩に聞くんですけど」若者が僕を射る。鈍い黒で。「眼の前でレイプされてショックなのは男と女とどっちだと思います? あ、終わったら殺されるんですけど。もう一人は手も足も出ない状況で。見させられるんですよ、恋人が犯されて殺されるのを」

「性差を見ようとしてるところがおかしいって指摘されなかった?」

「やっぱそうすか。男とか女とか関係ないですよね?」

 要は、

 愛。若者が平板に唱える。

 呪いの文句のようだった。

「相手のことをどんだけ愛してるかがだいじなんですよね、やっぱ」

「だろうね」

「貴重な意見ありがとうございます。もうひとつ、聞いてもいいですか」若者が距離を詰める。

 僕の顔面を下から覗きこむ。

「あなたをここで犯したら、そこ入ってるあなたのオトモダチはどんだけ悲しみますか?」

 もの凄い力だった。

 腕を掴まれて床に押し付けられる。

 僕は少女の名前を呼ぼうとしたが、

 その少女が僕の口の中に何かを入れる。

 薬?

 吐き出そうとした口を顎から押さえて。

「ご安心くださいな。死にはしませんことよ」

 味はしない。口の中で瞬く間に溶ける。

 なんだ、

 これ。

 力が抜ける。

 でも頭はやけにはっきりとしてて。

「どうぞ?」少女が檻の鍵を開けた。

「終わったら開けてくださいすよ?」若者は自ら檻の中に入り。

 再び鍵がかけられた。

 なにを、

 する気だ?

「あなたはそこでご覧くださいな?」しゃがんだ少女が僕の顔を覗き込む。「愛するその人があなたの眼の前でぐっちゃぐちゃに犯され、最後に虫けらみたいに殺される様を」

 まさか。

 やめろ。

 いやだ。

「実験スタートですわ」

 叫ぼうとする声は出ない。

 伸ばそうとする手は動かない。

 見たくない。

 聞きたくない。

 やめろ。

 なんで、

 そんなこと。

「わたくしは反対したんですのよ?」少女の靴が見える。黒い。「絶対にあなたを犯したほうが面白いって。でも」イツキくんが。「あなたは悪くないから。最後に殺すのは忍びないって言うから。性犯罪者は死ぬべきですわよね?」

 暴行というよりはただの殺し合い。

 若者は刃物を持っていた。

 それを手にした方が生存できる。

 檻に背中が押しつけられる。

 どっちだ?

 見えない。

 少女が座っていて。

 どいてくれ。

 やめさせてくれ。

 鍵を開けて。

 その模倣犯を外に出してくれ。

「だらだらと閉まりの悪いお口ですこと」少女のスカートの中が見える。そうゆう座り方をしている。

 僕の顔の真ん前で。

「興奮しますでしょう? よろしくてよ?」

 なにが、

 よろしいのか。

 少女は僕の鼻の下に粘膜を押しつけてくる。

 吐きそうだった。

 叫びと暴力と。

 血と。

 血と地と恥と。

「やめてさしあげてもよくってよ? わたくしが満足すれば、ですけれど」

 苦痛にまみれた声。

 それがどっちの声なのか。

 わからない。

 見なければ。

 いまどちらが死にかけていて、

 いまどちらが犯されかけているのだろう。

「殺されたくはないのでしょう?」

 主語は、

 僕じゃない。檻の中にいる性犯罪者。

 不破繁栄。

 不破シゲルは、

 俺だ。

 檻の中には誰もいない。

 暴れているのは、出してくれと。

 ここから出せと。

 騙しやがって。研究ができないじゃないかと。

 喚く模倣犯。

 ざまあみろ。

 俺の真似をするからだ。

 吐き気が止まらない。

 いっそ、

 吐いてしまえば楽になるか。

「お疲れ様ですわ」少女が脚を閉じて立ち上がる。

 粘膜の残留感覚が、

 嘔吐感を煽る。

 吐くには、

 まだ早い。

「あなたのお部屋はこの下です」少女が鍵を落とす。「参りましょう」

 相変わらず身体に力が入らない。

 脳はこんなにもクリアなのに。

 こんな状況で檻の向こうに放り込まれたら、

 真っ先に頭がおかしくなる。

 頭がおかしくなる状態を頭が認識してしまう。

 俺は、

 檻の内側にいて。

 僕は。

 檻の外側にいたはずなのに。

「すべての性犯罪者はここで更生プログラムを受ける権利が整っている」僕から不破繁栄を奪った女の声が聞こえる。「お前の罪を並べてやろうか? いまから7年前、六名の女を殺し、それを友人になすりつけ、私の娘の眼の前でその恋人を犯して殺し、その7年後、再び同一手口での犯行を繰り返すこと二件。ぜんぶお前がやったんだ。模倣犯などいない。すべてお前一人でやったんだ」

 僕を洗脳する気だ。やってもいない冤罪をさもやったかのように自白させて。

 だったらそこにいる模倣犯は何だ?

 僕のコピィじゃないか。不破繁栄をパクった二番煎じ。

「優秀な元エリートとの約束があるんでな。悪いが、お前を」

 治療しなければならなくなった。

「私の患者にしてやろう」

 その女は白衣を翻してカルテを落とす。

 僕に、

 俺に見えるように。

 そこに書かれている名前に酷く違和感を覚える。

 不破繁栄でもない。

 不破シゲルだ。

 斎宮イツキでもなく。

 斎宮サイグウだ。

「お前は今日から登呂築だ。下の名は、そうだな」女がカルテを拾う。

 白い指に光る金属が眼に入った。

 わざと、

 見せた。

「次会うときまでに考えておこう」


      2


 その少女は爪先立ちをして手を伸ばしていた。

 陳列棚の一番高いところにある謎の粉をご所望らしく。

「取ろうか?」見るに見かねて手を貸したが。

 まずいな。

 最近の親は過保護に親バカの累乗だから、素性の怪しいおっさんが半径数メートル以内に入ってしかも声を掛けたってもんなら。

 思わず周囲を確認する。

「だいじょうぶ。ひとり」少女は謎の粉を抱えて呟く。「ありがとう」

 それは余計にまずいのではないだろうか。

 人攫いとか事件に巻き込まれるとか連れ去られて殺されるとか。

 て、赤の他人の僕が心配することでもないが。どこぞの課長じゃあるまいし。

 つい少年少女を守る職業柄気を回してしまう。

「なべ」少女は僕のショッピングカートの中をのぞいて言った。

「鋭いね」

「ひとり?」

「この量を僕が一人で食べるとなるとクリスマスが終わっちゃうね」

 少女の歳は十代に差し掛かったかその付近。長い髪をそれぞれ耳の後ろで結わえ、黒のダッフルコートを着ていた。

 目線は僕の腰のあたり。その年の少女にしてはしっかりした印象を受けた。金さえあれば大抵のことはできる。そんな核家族の一人っ子ぽさを感じさせた。

「一人なの?」

 日曜とはいえやはり、ひとりで買い物はまずいのではないだろうか。迷子センタだとかその手のサービスセンタに連れて行ったほうが。

「近く」

「近くに住んでるんだ?」

「ケーキつくる」

「ひとりで?」

「買ってくれない」

「そうなんだ」おじさんが買ってあげよう、とも言えない。

 さらに不審者決定。

 最近の世相を反映しているかのようで心苦しくもあった。

 運よく日曜とクリスマスが重なってもこんなに小さい子が家で一人。

「友だちは?」もの凄い余計なお世話だと思ったが口が勝手に。

「みんな死んだ」

「そうなんだ」以外に返す言葉を知らない。

 商品を搬入している店員にじろりと見られた。

 関わるのはやめよう。おじさんは決して怪しいものではなくて。

「じゃあね。ケーキ、じょうずに作れるといいね」

「弟子が世話になった」

 少女とは思えないような大人の女性の声が、そそくさと立ち去ろうとする僕の後頭部に直撃する。

 振り返る。

 少女は謎の粉を抱えて僕を見る。

 距離が、

 威圧感を与えるには近すぎて。

 親近感を覚えるには遠すぎて。

 白い肌。

 白い思考。

「弟子があなたを買っている理由。知りたい?」

 早朝にもかかわらず家族連れが多いのはやはり、本日の行事による。

 ケーキがどうだとか、チキンがどうだとか。店側も宣伝に余念がない。

「これ買って」少女は僕のかごの中に謎の粉を入れる。

 子どもにおねだりされる親の気持ちがわかった気がする。気のせいだろうが。

 会計を済ませて駐車場に戻る。少女は会計済みのシールを貼ってもらった謎の粉をだいじそうに抱いている。

「乗る?」少女が助手席を見る。

「長くなりそう?」

「■■■大学。連れてって」

「送ってけってこと?」

「弟子がいる」

「弟子が多いね」

 ■■■大学は、道なりというわけではないが寄り道というほど逸れてもいない。県内でも最高ランクな大学だ。ネームヴァリュ的な意味でも偏差値的な意味でも。

「日曜だけど?」大学は開いているのか。

 少女はシートに座って足をぶらぶら。シートベルトも首吊り甚だしい。

「君の名前を聞いてなかった」

「偽名なら」

「僕は」

「徒村等良。瀬名から聞いてる」

 やはり。

 瀬勿関先生の親玉か。

 こんなに小さな少女が。とは思わなかった。

 スーザちゃんだって充分に小さい。

 大人が偉いだなんて誰が決めた。ちょっとだけ長く生きてるだけだろ。

「あなたはクビになったんじゃない。自信を持って。ヘッドハンティング」

「別に戻りたいとは思ってないよ」

 僕の目的が達成されるのであれば。

 どんな身分だろうと劣悪な環境だろうと甘んじて受け入れるつもりでいる。

「祝多はクニに帰った」

「でしょうね」

「会いたい?」

 親切なカーナビがこの先を右折しろと言っている。

 わかりましたよ。

「そっちじゃない」

 わかっている。

 うるさい。

 親切心が一番鬱陶しい。

 馬鹿の一つ覚えみたいに戻れ戻れうるさいカーナビを黙らせる。

 手が痛い。

 頭ではわかっている。

 痛みはない。

 頭のどこかで否定している。

「短気」

「君は誰? 僕の知り合いの教授の兄貴と何か関係ある?」

 同じにおいがしてくる。

 馬鹿な大人を選択的に精神的心理的に大量虐殺してきた生臭さ。

 彼らに共通するのは、

 子ども。ガキ。

「あなたは子どもの憧れ」

「そんなことで先生が評価してくれるとも思えないけどね」

 それに子どもの憧れだったのは、

 過去の話。

「いまはもう違うよ」

「あなたは子どもの味方。子どもはみんなあなたが好き」

「その理論でいくと先生は子どもってことになるね」

「そう。まだガキ」

 カーナビの残骸が訴えてくる。俺なしで辿り着けるのかと。

 お前がいなくたって、

 親切な案内版がある。この先逆走。

「偽名でいいよ」

「国立硝子」

 くんだて・ショーコ。

「国立更生研究所の国立は、わたしが由来」

「紛らわしいね」

「結局、国はわたしを頼ってきた。遅すぎる」

 国立は晴れて、くんだてではなく、

 こくりつと呼んで差し支えなくなったわけか。

「財団あかいにしんて知ってる?」

「天敵」

「なるほど」

 対立構図になるわけか。

 僕の知り合いの教授の兄貴を教祖とする一派と。

「敵かもしれないよ」

 瀬勿関先生の師匠を教祖とする一派とは。

「あなたは子どもの味方。どっちにも顔が利く」

「両方の二重スパイをしてるかもしれない」

「あなたはそんなことしない」

「だろうね。興味もない」

 ハンドルを握る手とは対照的に、

 脳は冴えわたっている。

 腹部や手の痛みもいまは置いておける。

「会いたい?」少女が言う。

「会っても殺すだけだよ」

 祝多イワン。

 あるいは、

 タ=イオワン。

「生きてるんならね。殺せる」

「祝多は待ってる」

「それはうれしい」

 僕が生きている意味がまだあった。

 対策課なんかに席を置いていた意味が。

「スザキはあなたが好きなわけではない。祝多の欲しいものが欲しいだけ」

「だろうね」

 僕を手に入れるために祝多さんを殺したんじゃない。

 祝多さんに嫌がらせするために僕を奪おうとした。

 奪えっこない。

 僕はあんなガキに興味はない。

「そろそろUターン」少女が思いついたように言う。

「標識見た?」Uターン禁止。

「じゃあ駅でいい」

 このまま真っ直ぐ行くと駅がある。県内で一番大きな駅。

 ありとあらゆる公共交通機関が集中している。

 電車も地下鉄も新幹線もタクシーもバスも。飛行機と船はないが。

「ロータリィが嵌まるから横付けしないけど」

「祝多を殺せば悪が滅びる?」

「スーザちゃんも殺すよ」

 街路樹に電飾が絡まっている。

 朝っぱらから二人連れが多い。

 街のカラーが緑と赤と白だ。地中海に浮かぶ長靴の国じゃないんだから。

「悪はそれだけじゃない」

「君の敵も殺そうか?」

「あいつは死なない」

「君がもう死んでるってホント?」

 少女はビィドロの眼で僕を見る。

 僕は映っていない。

 そのガラスには。

「瀬名には言わないで」

「君が生きてるってこと?」

「わたしが負けたこと」

 誰に。

 何に。

「復讐劇が始まるから?」

「地下から這い出て来るから」

「出て来てるよ?」対策課にも顔出してくれてるし。

「瀬名がやってることは間違っていない。それだけ」

「でしょうね」

「止めて」

 路肩に停車。ハザードをつける。

「あなたに会えて楽しかった」

「子どもには人気みたいだね」

「ムダくんて呼ぶ」

「どうぞ。ご自由に」

 少女はぴょんと車を降りてドアを閉める。

「ムダくん」そう口が動いた気がして。

「はい」

 ウィンドウを下ろした。

「春に戦争がある。強いものが生き残る。死にたくなかったら」

 死にたくなかったら?

 少女は大人の女の声で言った。

「祝多と心中」

 そんなの、

「死んだ方がマシだよ。ご免だね」

 少女は謎の粉をぬいぐるみよろしく抱きしめて歩いて行く。

 その後ろ姿を見送る。

 まるでガラス細工の人形。

 脆く壊れやすい。

 しまった。

 ケーキくらい持たせてやればよかった。気が利かないおじさんだ。

 まあいいか。

 ■■■大学にいる弟子とやらがなんとかしてくれるだろう。

 ケータイの着信履歴が大変なことになっていた。音を切っていて正解のような不正解のような。

 スーザちゃんから三ケタを超えて。

 なんで一分おきに電話してきてるんだろう。

 そして、かかってきた。

「いま帰るよ」

「救急箱を用意して待ってますわね」

 僕の車にもスーザちゃんの眼と耳が搭載されているらしい。

「その痛々しい手のお怪我について多くは尋ねませんわ」

「言い訳する手間が省けたよ」全部筒抜けなら。

「ご一緒にカーナビを買いに行きませんこと?」

「そうだね」

 地獄まで案内してくれるやつをね。

 一丁。

「ママはわたくしが殺しましたわ」

「知ってる」

「誰にでも優しいのは結構ですけれど、あの娘、亡霊ですわよ?」

「らしいよね。朝っぱらからとんでもないもの見ちゃってるよね」

 僕がまともに取り合わないのが不満だったのか、

 スーザちゃんは黙ってしまった。

「いま帰るから」

「待ちきれませんわ」

「待っててよ」

 僕が君を好きになることはあり得ない。

 君が本気じゃないから。

 僕も本気になれない。

 そうゆう単純な問題かもしれない。いやいや、

 何をあてられてるんだ。

 クリスマスとか。

 何の関係もないじゃないか。

「切るよ」

「勝つのはわたくしですわ」

 切れた。

 緑と赤と白。

 クリスマスカラー。

 そこに黒を足すと、

 まるっと一年。

 春の戦争。

 青か。

 緑か。

 祝多さんが、

 タ=イオワンが生きてるなら。

 春の戦争とやらで会えるかもしれない。

 そのときに、

 僕が捕まえる。

 あなたの真実はそのときに、

 死ぬほど聞かせてもらいたい。

 心中?

 冗談。

 死んでも厭だね。


      3


「両想い」

「そないにからかわんと」

 轟音。

 数分置きに高速の乗り物がホームに入ってきては行ってしまう。

 硝子はベンチに座って足をぶらぶらさせている。

「行かへんのかいな」

「会ってかない?」

「アチは死んでんねんで? おらへんのよ。どっこにも」

 硝子は謎の粉を見せびらかす。

「買ってもらった」

「ほんまにガキには優しなあ」

 変わっていない。

 いつまでも、ガキには人気の。

 正義の味方気取りで。

 虫唾が走る。

 どこぞの性転換女装女とか彷彿とさせて。

「登呂築は期日」

「あかんわ。セキ、せーだい妖怪んなってもうたな。取り返しつかれへんぞ」

「悲しい?」

「そらな、アチのむっちゃだいじなヒトやってんで」

 両側のホームに待機していた乗り物が時間差で発車する。

 轟音。

 暴風。

「どこがいい?」

「ガキにはわからへんよ」

「かはんしんのう」

「なんやて?」

「怒った」

「かなんな。あんたには」

 さて、

 未練もなくなったところで。

「元気でな」

「次は春?」

「あんたは誰やと思う?」

 勝つのは。

 この椅子を継ぐのは。

「ムダくんを手に入れた女」

「ずいぶん買っとるんやね。粉で釣られたん?」

「買ってくれたのはムダくんだけ」

 何か、

 買ってくれただろうか。

 ねだれば。

 ムダくん。

 子どもはモノで釣るのが一番だ。

 ガキは単純でいい。

「スザキは駄目」

「ガキ作れへんもんな」

 ちょうど入ってきた新幹線に乗り込む。

 行き先は、西。

 ずっとずっと西の方。

 天竺までは行かない。

 三蔵法師じゃない。

 サルもブタもカッパもいない。

「息子によろしく」

「顔なん見ぃひんよ。アチのことめどぅさやと思うとるもん」

 発車ベル。

 硝子が柵から離れる。

 デッキにいた懐かしい気配に眼を奪われる。

「ショーコ」

 呼ぼうとしたがドアが閉まる。

 硝子は無表情で手を振る。

 せやからあんたにはかなんのや。

 だいぶやつれて。

 ニンゲンである資格も剥奪されて。

 原形をとどめていないが。

 アチにはわかる。

 あんたが、

 誰なのか。

「会いたかってんねんで」

 登呂築は口をきかない。

 それでええよ。

 あんたがそこに、

 いてくれさえすれば。

 せやな。

 今日は、

 そうゆう日やった。

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エバルシユホフ 伏潮朱遺 @fushiwo41

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