第12話 再会

 今回のワイバーン討伐はやばかったと思いながらビールを飲む。討伐はできたが、ディランはワイバーンの毒で病院送りだ。俺も危うく死にかけた。まさか番いで生活していたとは……。


「アイロ、久しぶり」

「ダグか? 久しぶり。もう国はいいのか?」

「おかげさまで。話は聞いたよ、あの頃の君からは想像もできない」

「あの頃って初めてあったときか? あの時は一緒に殴られてゴミ溜めに突っ込んだだろ」

「それはそれだ。何より数が多かった。今なら負ける気はしないがね」


 今回の任務はやばかったなあと思いながらナッツをポリポリ食べていると、犬の獣人のダグが話しかけてきた。冒険者になりたてのころからの友人だ。ハスキー犬のような見た目をしている。一緒にシーン国の人間と喧嘩して、ボコボコにされてゴミ溜めで寝たほど仲が良い。


「ひとまず戦いは終わったが、春が来たらまた攻めて来るんじゃないか?」

「そうだな。連中は俺たちが嫌いだから、帝国がなくならない限りどこまでも追ってくるだろうさ」


 ダグの分の酒とつまみを貰ってのんびりと話す。戦争の話をしているのにあまり暗くならないのは日常的で、戦争が長く続いているからだろう。今回の戦闘は帝国からすればガス抜き程度でしかないしな。


「帝国の獣人嫌いにも困ったもんだな。シーン国がいいクッションになってくれているうちはまだ安心かな」

「そうだな。それにクレール王国からの支援にはいつも助けられている」

「まあそれは歴史も宗教も俺も含めて、全部お互い様だ」


 戦争の原因は宗教と歴史が大きく関わってくるが、酒の席だしまたの機会にしよう。


「今日は飲もうぜ。それに頼みがあってきたんだろ?」

「まあ、な。今日みたいな日に話すことじゃない。複雑だからな。今日はお前たちのワイバーン討伐を祝って」

「「乾杯!」」

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