読者が犯人。

第1話 三百六文字。

ああ、来てくれたのか。

うん、実はな。

俺の友人の作家が、殺されちまった。

ひでえ殺され方で、首、ほとんどとれちまってた。

犯人は、わかってる。日本のどこかにいるらしいが、捕まっちゃあいない。その作家の担当者だって話だ。物書きのわりにまじめなやつで、飲みながら、その犯人のことを常々言っていた。シラフじゃなく飲んでいってるんだから、本音なんだろう。批評をしてくれて、アドバイスをしてくれる。ヒントをくれる。だめな時は読んでさえくれないが、励ましてくれて応援してくれる。と。読まれるってのは嬉しいもんだと。感謝してると。星については俺はよくわからなかったが……。

そんな奴が、やるとは。お前は知らないか、そんな、奴のことを。