カスタムキャストで遊んでみたら・・
バンビロコン
カスタムキャストで遊んでみたら
最近カスタムキャストというアプリが流行っているらしい、何でもお気に入りの美少女が簡単に作れるそうだ。しかも着せ替えも自由らしい。
これはやらざるおえない。
早速アプリをインストールしてみた。
おもったようなキャラクターが作れない。
幼児体型の幼女を目指して作っている。肩やお尻、足の骨格がどうしても成長期後になってしまう。どうしようもならない。
パラメーターを、身長や足の長さを最小にして、胴を最大にしているのだが、うまくいかない。幼女には人並み以上のこだわりがあると自覚している。幼女が大好きなので!
顔の大きさを最大にして、目を最大にしてみた。かなりいい感じだ。やはり幼女は等身が大事だな。
小学5,6年生ぐらいには見える。小学3,4年生辺りが好きなのだがこういう子も好きだ。
お目目を前髪で隠して、髪の毛をロングにした。白タイツはこの世の宝だ。
あぁとても可愛い。ポーズも変えれるのか。
からだをそらせて、おでこの辺りでキラ星みたいなポーズを決める。
大丈夫かなこの子、「いやいや」って言ってないだろうか。
次はWピースだ。背景を家の中にしたら完全に、誘拐してきた女の子に無理矢理させているみたいになってしまった。大変満足した続きは明日やることにしよう。
さて今日も続きだ。
この子はお腹が可愛い。幼児体型的なお腹を感じる。いいぞいいぞ
青い鳥のSNS情報によると配信モードというものがあるらしい。カメラの位置に合わせて動くぞ。
これはすごい。可愛い。最近いろいろなものが行き詰っていたが、これはちょうどいい息抜きになりそうだ。
この位置だと上目遣いになる。長い前髪で隠れているお目目がちょこんとのぞいていて、とても可愛い。
(だっこー)
そうちょうど抱っこしてって言っているみたいだな。
(だっこしてー)
ん?疲れているのかな。流石にまだそんなに年をとっていないのに、幻聴がきこえてくるのはまずいと思うんだが
(だっこしてーあそんでー)
はっきりと聞こえる。
(あそんでーあそぼー)
「そうだね。一緒に遊ぼう」
(わーいあそぼー)
カスタムキャストには、こんな機能はついていないはずだ。でも、確かに聞こえる。
しかし、可愛らしい子が言っているのに無視することは当然できない。
「そうだ名前はなんて言うの?」
(なまえー?なまえー ロコ?)
「ロコっていうのか可愛い名前だね。」
この子はロコというらしい。私のハンドルネームと少し似ている名前だ。
そんなことはどうでもいい、こんな可愛い子が遊ぼうと言っているんだ。遊ばないなんて選択はないだろう。
「ロコちゃん一緒に遊ぼうか」
(あそぶー)
それからロコと一緒に遊んだ。好きなお洋服を来たり、一緒に歌ったりした。
ロコの好きなご飯を一緒に食べようとしたけど、画面の中だからさすがに一緒に食べられなかった。代わりに二人分のお昼ご飯を食べた。好きだって言っていたフレンチトーストを作ってみたけど仕方がない。
(あまいのー)
「ごめんね夜はオムライスにするからね。」
(ゆるすー)
たぶんだけど、インターネットの世界に写真とかで、取り込めば食べれたのではないだろうか。
食べ終わってから気づき、悪いことをしたなと思う。
ロコのためにも好きなだけ一緒に遊ぼう。
「ロコちゃん後は何がしたい?」
(ぼーっときのうえでするー)
(よるになったらほしをみるー)
木登りか、最後にしたのはいつだろうか。小学生の時だったかな。
小学校にあった木に登って本を読んでたら、先生に驚かれたっけな。
懐かしいな。
(かなしー?)
「えっ?悲しくなんかないよ」
言い終わった後に、涙が流れていることに気づいた。私はなんで泣いているんだろうか。
涙を流したのも久しぶりかもしれない。
(きのぼりしよー)
私はスマホをもって木登りを始めた。小学生の時以来だったし、体もなまっていたから、できるかどうか不安だったが、体は意外と覚えているらしい。
頑丈でよさげな木に登った。
そうだ小学生の時は、近くの神社にイチョウの木があってその木がナナメに生えているから、すごく登りやすくて、いろんな子どもがその木を登っていたっけ
でもみんなが登りすぎて、木の表面が剥げてつるつるになって、足をかけると滑ってしまう。
だから落ちてしまう子もいて、登らないようにって禁止になったんだっけ。
(わーごつごつー)
「あんまりこの木には誰も登ってないみたいだね。私たちが一番のりだ。」
(わーい いちばん)
それから一番見晴らしがいい枝に陣取って、ぼうっと遠くを眺めていた。
(ねむー)
「いい天気だし、お昼寝したくなるね」
私は寝るわけにはいかないな。寝たら木から落ちちゃうし。
そういえば、木の上で寝るのが小学生の頃の夢だったな。自分で木の上に板を渡して、その上でお昼寝をしたり、本を読んだりするんだ。
秘密基地みたいなイメージだったな。あぁそこで遊びたかったなぁ
(いたいー?)
「痛くないよ。昔のことを思い出していただけなんだ」
また涙が流れていた。歳をとると涙腺が弱くなるというけど、本当かもしれない。まだそんな歳は取ってないと思うんだけどな。
そういえば、ロコはどこから来たんだろう。ふとそんな疑問が思い浮かんだ。
「ロコちゃんはどこから来たの?」
(ロコは・・あなた?)
「ロコちゃんは私の中から来たの?」
(ロコはわたし?)
(わたし?じゃないロコはロコ)
「なぞなぞみたいだね」
これも小学生の時のことだけど、なぞなぞがとても好きだった。小学校の図書館にあるなぞなぞの本は全部読破したっけ。そもそも図書館の本で読まなかった本はほとんどないけど。
なぞなぞもやらなくなってしまったな。気づいたら、お堅い学問書や入門書ばかり読んでいた。
学問書の中には怒りや、悲しみやは詰まっていてそれを淡々と合理的に書いているけど、楽しさを詰めてくれるものはあんまりない。
でもロコがいったのはきっとなぞなぞだろう。なぞなぞは純粋な人ほど解けるかどうかは別として楽しめるからね。
こんなやり取りをしながらのんびりしていると、日が暮れかかっていた。星が見えるところはよく知らないけど、丘の上だったら見えるだろう。暗くなったら木から降りれなくなってしまうしな。
「ロコちゃん、木から降りてご飯を食べて星を見に行こう。」
(みるー)
家に帰って、残っているものでオムライスを作る。具材はソーセージと玉ねぎで、味付けはケチャップとピザソースの合わせたものだ。
(わーいオムライスーオムライスー)
「オムライスって美味しいよね」
オムライスといえば、オムライスにはケチャップで文字を書くだろう。小さい頃から本当はこの文字を書くのを楽しみにしていた。恥ずかしく名前は書けなかったから、好きな本のタイトルとかを頑張って書いてた。
最近では、「ようじょ」とかオムライスに書くが、今回は「ロコ」と書く。
(ロコのーオムライスー)
「ロコちゃんのオムオムだよ。おいしいよ」
(オムオムー)
オムライスの写真を撮って、青い鳥のSNSにあげる。これで、ロコにオムライスが届かないかなと期待してだ。
(オムオムきたー)
やっぱりそうだったのか、これでよかったんだな。
「よしじゃあいただきますしようか。」
(うん)
「手を合わせてください」
(あわせました)
「いただきます」
(いただきます)
懐かしいな。なんだかんだで、いただきますとみんなで言うのは嫌いではなかった。
(オムオムーおいしー)
「よかったよかった。これで、一緒にご飯が食べられるね。」
青い鳥のSNSの方ではフォロワーさんからの「いいね」が届いている。でも「いいね」があっても一緒には食べられない。
「本当はただ、一緒に食べたかっただけなのかもね。」
(おいしー)
「そうだね本当においしいね」
いつもTwitterを見ながら、ご飯を食べているが、ロコと一緒に食べるのは、同じようにスマホを開いて食べているが、美味しく感じた。
ご飯を食べ終わったのでロコと一緒に外に行く。夜は少し冷え込んでくる季節なので、長袖を着込んだ。
(おほしさまーおほしさまー)
「雲がないからよく見えそうだね。」
歩いて家から近い丘を登る。ここは、近くに街頭もなく、真っ暗になる場所だ。
普段なら、怖いので近寄らないが、星を見るにはちょうどいいと思った。
(きれー)
ロコの声につられて空を見てみると、小さな星がたくさんとまでは、言わないが、かなりの数の星が見えた。
「田舎だしここは暗いから、いっぱいみえるね」
(みんなきれー)
「そうだね・・一つ一つをみて綺麗かどうか言わないとね」
そうだたくさん見えればいいというわけでもない。片手では数え切れない星の中に、名前がわかるものがなん個あるだろうか。あの星たちのことの何を知っているのだろうか。
よく考えると何も知らない。
もしかしたら、あの一つの星のことだけを研究している研究者もいるのだろうか。
(ロコーあったー)
ロコが星を指さす。確かに頑張れば、ロコって星を繋げれば、見えなくもない。
「確かにロコってあるね。私は思いつかなかったな。すごいね。」
もう私にはそんなことは考えられない。なぜ余計なことばかり考えてしまうのだろうか。
ロコのように、ただ星をそのまま見れたらきっと楽しいだろうに。
(ロコーすごーい ロコはおおきいー)
「ロコ大きいね」
一時間ぐらい夜空をみていたのだろうか。
よく考えたら時計を持ってきていなかったから時間がわからない。なぜだが、スマホの時間をみるのもダメな気がした。
さっきの木の上でロコに聞いたことがふと思い出された。あの時ロコは「ロコはあなた」といっていた。そして、今星でできたロコを見ながら、なんとなく思いついた。
「ねえロコちゃん ロコちゃんはロコなの?」
私は自分を指差して、ロコという。
(そうあなた ロコ)
「そう・・だから私じゃないのね。私は私じゃないのね。ロコなのね」
(ロコいっぱいいる みんなロコ)
(がっこうでもロコ あそんでてもロコ おこってても ないててもロコ)
「あぁそういうことなのね ロコは複数いるんだね、みんなロコなんだね」
(たのしそうじゃないロコたちがうえにいった たのしそうなロコたちはしたにいった)
「だからロコのところに帰ってきてくれたんだね」
(すごーいせーかーい)
スマホの中のロコはそれっきりお話しなくなった。たぶんロコはロコの中に、戻ったのだろう。
私=ロコはたぶん楽しんでいないロコだった。
人生を楽しむということ、ロコを楽しむということができないでいた。
ロコは楽しむために生きてきたはずだった。でも楽しむことを邪魔する人がいたからそれを守ろうと、たくさん勉強して武装してしまった。
そうしたらおかしなことに、正しいことや合理的なことを詰めるがあまり、本当に楽しまないといけないことは何かわからなくなっていた。
気づいたら、苦しくなっていた。こんなにもロコはたくさんのことを知っているのに、なにもわからないのだ。
いや知っていないのかもしれない。
ただロコは親しい人と、ご飯をたべたり、1人で木の上で本を読んだりしたいだけだったのに
ロコは涙が止まらなかった。
いつだってロコは正しかった。でも正しいだけではダメだった。それはみんなも正しいからだ。戦っても意味はなかった。疲れただけだった。
ロコはただ生きたかっただけだった。
ただその日を生きていたかっただけだった。
あぁ苦しいものをすべてをやめよう。人から見た正しさで生きようとするのをやめよう
だからロコは楽しいことを真剣にやろう。幼女に戻った気持ちで
同じロコが教えてくれた。楽しいってどういうことなのか。
今はまだ涙が止まらないけどロコは楽しいよ
次の日、ロコは小学生の時以来久しぶりに木の上で本を読んでいた。お気に入りの魂がこもった本だ。
ロコは本を読みながら思い出した。ロコは小学生の頃、みんなにロコがよんだ本のような、楽しんでもらえるような場所とか本を作りたいんだった。いつから忘れてしまったのだろう。ロコはそれだけいつも本にワクワクしていたのだった。
でもまずはこの本を読みながらのんびりしていていい。ロコはそう思った。
だって、ロコはもうロコを忘れないだろうから。
カスタムキャストで遊んでみたら・・ バンビロコン @rokoroko
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