リベリオン ―叛逆の銀閃―
匿名絶望
リベリオン ―叛逆の銀閃―
時は20XX年、剣術の世界は【銀閃流】という刀技を使う謎の組織に支配されようとしていた……。彼らに【金剛流】【ブロンズ・ソードアート】【鋼の剣術士】【チャンバラ協会】という四つの組織が抗ったが、それらは白銀の一閃の前に悉く散っていった。もはや世界に希望はない……そう感じられたある時のことだった。なんと銀閃流内部から一人の若い男が離反したとの知らせが入った。それは銀閃流当主の継承者であるはずの、現当主の息子であった……。
銀色の冷たい風が吹く崖に、帯刀した二人の男が相対していた。
若い男が大声で言う。
「ついに追い詰めたぞ、ここで終わりだ!」
すると、老いたほうの男はこう返した。
「……息子よ、ついにここまで来たか……しかし、私の目的は止めさせぬぞ……いや、いずれにせよお前には止められない。わしを倒すことはできぬし、いくら息子の話でも儂は聞かぬぞ」
「……いいや、止めてみせる。 お前が俺に教えた、銀閃流で!」
「ふふ、反抗期とはいえ儂に挑むとは……成長したものだ。 結構。その刃を受け止め、お前も世界支配の手駒に加えてやろう……ちなみにこの一部始終はニヤニヤ動画で生放送されとるからあんまり痛いことは言わぬほうがいいぞ」
「えっマジか……まあどうでもいいか。俺はお前の、息子を手駒としか考えないような、そのようなところが嫌なんだ。その考えを持っている限り、俺はお前を父とは認めない!」
「……こんなところで立ち話もなんだ。さっさと始めようじゃないか、息子よ」
「ああ、望むところだ……!」
二人は抜刀する。雪のふぶく断崖に二本の白銀の刀が翻り……次の瞬間、彼らは鍔迫り合いをする。カメラでは捉えられないほどの速度と技巧で二人は仕合を繰り広げる。そう、この速さこそが銀閃流の骨頂である。一撃の威力を重視する金剛流、重いロングソードを扱うブロンズ・ソードアート、長い刀により先手を取って戦うことを重視する鋼の剣術士、木の枝などそもそも闘いに向かない得物を使うチャンバラ協会が散っていった要因は、この速さを止めきれなかったことにある。
息子が切り上げたかと思えば、当主はそれを受け流し、当主が切り伏せるかと思えば、息子はその瞬速で躱し背後に回る。当主はすぐに振り向き、背後から切りかかる息子の刀を止め……また鍔迫り合いとなった二人は、お互いを突き飛ばした。
雪をかき分け着地する二人。その刀はすでに刃こぼれが多く、お互い次の一撃で壊れそうだった。
「……お互いに最後の一撃のようだな」
「そのようだ……さあ、決めるぞ、父よ!」
二人の剣士は、刀を構え相手の方へ疾走する。二人はすぐに交差し……刹那、生放送の映像は斬撃による銀の光とコメントによる弾幕に包まれ……光とコメントが画面から消えた時、互いが最初にいたところで、斬ったままの姿勢で立っていた。
「見事だ……息子よ……」
そう言った次の瞬間、頸動脈から血を流し倒れたのは、当主である父の方だった。
一方、息子はもう一度立ち直り、父の方へ駆け、死亡を確認すると、斬られたはずであった自分の懐を確認した。そこには子供の時に父から貰った、漆塗りの匕首が収まっていた。
「……最後だけ父親みたいなことしやがる……」
息子は父親をその場に埋葬すると、モニタに表示された生放送についたコメントを確かめた。
【匕首はそんな使い方をするものではありません】
【それは平成の時代に作られた模造品ですね。私は本物を持っています】
【野望を止めるためとはいえ父親を殺すとはなんて親不孝野郎なんだファ○キン!!】
「…………」
呆れて口が開かないのか、しばらく静寂が流れた後、息子……現当主は「銀閃流はもう世界を支配しようとしないこと」「金剛流ほかの復興のお金は銀閃流が出すこと」「あとチャンバラ協会は別に知らないこと」を話し、生放送を止め、そのまま旅に出たのであった。
彼が今どこで何をしているかは誰も知らない。
リベリオン ―叛逆の銀閃― 匿名絶望 @moerugomi_sk
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます