断章 こっぺ、やらかす
第18話 こかん
しもねたちゅーいっ!
僕が拾われてから、ちょっと経った頃のお話です。
かなたご主人さまがいつものように、リビングにあるソファの上で寝ていました。
お腹の上には桃色のぶらんけっとが掛けられていて、お腹が小さく上下しています。僕はそれを見ながら、テーブルの上に置きっぱなしのぱそこんにちょっかいをかけていました。
そらご主人様は、ダイニングにある椅子に座ってコーヒーを飲みながら、ゆっくりと本を読んでいます。
むずむず。むずむず。
僕はこの時、とっても遊びたかったんです。
かれーは寝ているし、めろんはそらご主人様の足元にいるし、でも二人のご主人様は構ってくれそうにないし。
なのに、なにを血迷ったのか、僕はかなたご主人様の方に突撃しちゃったんです。
「かなたご主人様ーっ!! あそぼーっ!」
僕はテーブルの上から助走をつけて、思いっきりジャンプしました。でも、狙っていたお腹の上じゃなくて、少し下の辺りに着地しちゃったんです。
そう、股間です。生き物にとって大事な所!
着地したとたん、かなたご主人様が「ぐふっ!」と、うめき声を上げました。
《――おお、ご主人様の最上級業物♂が》
《――あら。ご主人様のポークピッツ♂が》
「あーっ! ここここっぺ、私と奏太の小っちゃな奏太♂に何するのっ!」
ひゃっー! ごめんなさい、悪気はなかったんです!
そのあとはもう、大変でした。かなたご主人様は股間を抑えたままソファに寝っ転がってぜんぜん起きないし、そらご主人様はわたわたしてるし、めろんとかれーは笑ってるし。
「奏太、だいじょうぶ?」
「だ、大丈夫。こっぺは軽いから」
涙目でソファに横になっているかなたご主人様の背中を、そらご主人様がさすっています。うう、反省しなくちゃいけません。
結局、ご主人様たちはこの日は何にもせずに一日を終えました。お夕飯も、出前なるものをとって済ませてました。らーめん、美味しそうです。
僕は、そらご主人様のお叱りのおことばと一緒に、たらふくご飯をもらいました。以後、気を付けます!
二人のご主人様が同じ布団に入ったのを見届けた後、僕はこの家に来た時に買って貰ったふかふかのクッションの上で丸くなりました。
僕が拾われるときに入っていた段ボールは、雨と泥でしわしわになって、ボロボロになっちゃったんです。このふわふわのクッション、僕の匂いを付けるのに何日もかかりました。
……ふあぁ。ようやく、眠気が襲ってきましたよ。かれーもめろんも眠ってるし、僕も眠ることにします。
あしたもきっと、素敵な毎日になると信じて。
おやすみなさーいっ♪
仔にゃんこのボクが、ご主人様の色んな所をにゃんにゃんするだけ まほろば @ich5da1huku
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