第4話 立場逆転
「男子、三日会わざれば刮目(かつもく)して見よ」
という言葉がある。
簡単に言えば、3日会わなければ別人として見よと言う事だと思うが、
それは、女子にも当てはまる。
俺の隣人、釜田幸子は幼馴染の同級生の女の子だが、
人前では、完璧なまでに理想の女性像を演じているが、
本当は、とてもだらしがなく、恥じらいを知らない。
ただ、明るくて優しいところだけは変わらないので、
彼女の長所と言える・・・
俺は彼女のだらしのなさに、翻弄されていたが、心のどこかで楽しんでた。
ある意味では、家族のような、妹のような感じだった・・・
その釜田幸子が、引っ越す事になった。
つまり、隣人ではなくなった・・・
といっても、歩いて10分ほどのところなので、学校は変わらない。
しかし、会う機会はガクッと減る。
でも、幸子の両親は残る。
つまり、幸子だけが引っ越すことになった。
理由は、幸子のだらしのなさを、見るに見かねた両親が、
「少しはまともに」と、強制的に1人暮らしを命じた。
幸子は、「憧れの1人暮らしだ」と、喜んでいた・・・
俺は、心配だった・・・
幸子がひとりでやっていけるのかと・・・
幸子の住所は聞いていた。
しかし、幸子のご両親の願いもあってか、行かないでいた。
(幸子の自立心をつけるために・・・)
で、幸子が引っ越してから、3日経ったある日、
俺は、朝が弱いので、寝ていた・・・
寝たいときは寝る
それが一番だ・・・
今日は学校も休み・・・
「おやすみ、俺・・・」
その時、階段でものすごい音がした・・・
「親父でも、転んだか・・・」
全く気にすることなく。寝ていたのだが・・・
勢いよくドアが開いて・・・
「やすくん、おーきーろー」
幸子が駆け込んできた・・・
「幸子、どうした?」
「もう10時だよ、いいかげん起きなさい」
「なんで、ここにいる?」
「おじさんと、おばさんに頼まれた」
「何を?」
「うちのバカ息子を起こしてくれって」
なんなんだ?この変わりようは?
「3日間1人暮らしをして、思ったの?」
「何を?」
「わたしは、だらしがなかったって、このままでは、お嫁にいけないって」
「それで?」
「だから、心をいれかえたの・・・」
何も言えなかった・・・
女ってわからない・・・
まあ、まともになってくれるのなら、それでいい・・・
それでいいが、寂しい気もした・・・
「ねえ、やすくん」
「何?」
「おはようのキスしてあげようか?」
「遠慮しておきます」
俺は飛び起きた・・・
「明日からも毎日起こしに来るからね」
根本的に、男は女には勝てないのか・・・
でも、悪い気のしていない自分がそこにいた・・・
おとなりの女の子 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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