災禍にみまわれた村の窮状を救うため、日の柱女神(オルメサイア)への救援を求め旅をするアズナは、途中でイビアスと彼の眷属<クスビ>ロゼニアに出会う。
さらにハドリ・タキア夫妻も合流し、アズナは村の外の常識や世界を知りながら、目的地である皇都を目指す。
この物語を、「こんな話です!」と一言で紹介するのは正直難しいです。
…のでひとこと紹介、作者さんのタグの「和洋折衷異世界遠未来ファンタジー」からいただきました…!そう、これがぴったり…なんです…!!
(読んだ方にはタグのピッタリ感、ご納得いただけると思う…!独自世界観が好きな方に特におすすめの作品です)
というのは読み進めるうちに、印象がどんどん変化するからです。
明かされるごとに、世界の形が紐解かれていく、目の前が開けていく、という感覚が近いかもしれません。
それは本当にこの物語の「世界」のことでもありますし、主人公の「アズナ」また彼が出会う人たちのことでもあります。
優しいだけの世界じゃない。
それでもその時その時の、一人一人が考える最善を選択していく姿は、眩しく、心に残ります。
最後に!
完結おめでとうございます。
いちファンとして、アズナくんたちをはじめとした彼らの道行きに立ち会えて本当に嬉しかったです。
そして最後の場面から、タイトルに立ち返ってきた瞬間の感慨が本当に…うまく言葉にはできないのですが胸が熱くなりました。
彼らの道行きに幸多からんことを!
五月蠅なすという言葉がピタリと当てはまるような、人と異形が犇めく世界はとても魅惑的で、多くの神話の影響を受けているように見受けられます。作者が好きなものをめいっぱい詰め込んだような、そんな豪勢な世界観と設定は知れば知るほどに引き込まれます。
また、そんな世界を語る言葉もそれを彩るに相応しい語句のチョイスと言い回しで、世界観と文章が見事にマッチして素晴らしい相乗効果を生んでいます。平凡な表現になってしまうかもしれませんが、このまま紙の本になっていたとしても遜色がないという感じがしますし、一文一文を余すところなく堪能したくなるような雰囲気の良さが何より魅力的です。
主人公は世間に疎く、それが何も知らない読み手の目や耳となっていること、そして、そのこと自体が彼の謎そのものにも繋がっているのが面白いところです。(おそらくは)忘れられた神の力を行使するくだりから、この世界への関わりが想像されて物語の行く末が気になります。
一癖二癖あるキャラクターたち、遠くで関わる謎の人物たち、それらが今後どのように交わっていくか楽しみですし、どのよう言葉でこの世界での物語が描かれていくのかというメタ的な部分でも注目していきたいと思います。