ある男の物語
まえがき:
作中設定で間違えている部分があった場合、ご指摘いただきたく思います。
昔から、鋼鉄人形は憧れの的だった。
オレンジネクサス、ブルーネクサス、インスパイア、ゼクローザス、果てはリナリア。
全高10m前後の鋼鉄人形が動く
人の意思を汲み取ったかのように動き、自らの主を守る。
私は、そんな騎士達に惚れていた。
時は流れ、私は80を過ぎた。
鋼鉄人形の開発に携われると思って入った帝国の兵器開発部門だが、来る日も来る日も退屈な作業ばかりだった。
つまらない兵器ばかりを造らされ、私は苦い思いを噛み締め続けていた。
そんな時、私の想いを知ってか知らずか、こんな辞令が届いた。
「Dr. ノイベルト殿
貴殿をサナート支部の所長に任ず
アルマ帝国兵器開発部門」
これを見た私の心境は、天にも昇らんばかりであった。
上の連中が何を考えていたかは知らん。もしかしたら、鬱陶しい私を体よく左遷したつもりだろう。
だが私は、「秘密基地」を得た気分であった。
上が何を考えていようと、どうでも良かった。
*
いざ私が極北の地たるサナートへ赴くと、なるほどそこは怠惰の極みであった。
これには私も、いささか驚いた。
だが、赴任したその日の夜から、設備という設備を有りっ丈用いた実験を始めた。
当然だ。すべきことは決まっていたからだ。
新型コクピットの作成、形状変化する武装、ランフォ・ルーザに用いた方法以外での飛行方法の研究、反応炉の性能強化、サナート赴任前から私を慕っていた者を利用した情報収集……全ての手段を、私はサナートにいたその時から費やした。
その過程で、いくつもデータが出来た。
後はそれを実用しようとした時――
“騎士と姫、切り離せぬ縁(えにし)に続く――”
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